謝躬

謝躬について

謝躬（しゃ きゅう、？ - 24年）は、中国の新代における著名な武将と政治家であり、更始帝配下の重要な人物でした。本名は謝躬、字は子張と称し、荊州南陽郡から出身する人物です。その軍歴において初期の出身地や所属勢力については、いくつかの説がありますが、確定した情報はありません。

王郎の討伐

更始2年（24年）のこと、謝躬は尚書令に任命され、当時の指導者である更始帝の命を受け、河北で皇帝を名乗る王郎の討伐に乗り出しました。この討伐には振威将軍馬武や冀州牧龐萌と共に参加しましたが、謝躬は単独で討伐を果たすことはできず、先に河北に進出していた劉秀と連携を図ることになりました。

同年5月、両者の協力により邯鄲を攻略し、王郎を滅ぼすことに成功しました。しかし、この戦闘において謝躬の部隊は邯鄲城内で略奪行為を行い、そのため劉秀からは疑念と恨みの目で見られるようになります。それに伴い、劉秀は謝躬との陣営を共にすることを拒み、移動を余儀なくされました。こうした状況にもかかわらず、謝躬は自身の職務に真摯に取り組む姿勢が評価され、「謝尚書は真の官吏である」と称賛されていました。徐々に劉秀への警戒心も薄れ、妻や子が警告を発しても意に介さなくなったのです。

劉秀の策略

その後、謝躬は数万の兵を率いて鄴（魏郡）へと移駐しましたが、その部隊による横暴な行動は地元民への大きな苦痛となりました。同じ年のうちに、劉秀は河北の独立した民軍である青犢軍と尤来軍の討伐を命じました。その際、特に尤来軍が山陽県へと逃走してきたことを受け、謝躬に迎撃を導入するよう依頼しました。疑いを持たず承諾した謝躬は、大将軍劉慶と魏郡の太守陳康に鄴を守らせ、隆慮山に向かいましたが、結果として大敗を喫し、数千人の兵を失うことになりました。

この敗北は劉秀の計画的な策略で、謝躬が戦闘で手薄となった隙を突いて、部将の呉漢と岑彭が鄴を襲撃したのです。呉漢は陳康を篭絡し、謝躬の家族を捕らえることに成功しました。敗北を知った謝躬が戻ると、呉漢と岑彭は彼を捕らえました。謝躬は彼らの前で平伏しましたが、呉漢は「幽霊と話す必要はない」と一言で彼を処刑しました。この事件に絡んで、謝躬の部下であった馬武や龐萌は、彼が死亡したと知ると次々に劉秀に投降しました。

こうして、劉秀は河北において最大の政敵を排除することに成功し、中国の歴史に大きな足跡を残しました。謝躬の最期は劉秀の巧妙な策略によってもたらされた悲劇的な結末となるのでした。

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