龐萌

龐萌の生涯とその歴史的背景

龐萌（ほう ぼう）は、中国の新代から後漢時代初期に活躍した武将で、その生涯はドラマチックな展開に満ちています。彼は兗州山陽郡出身で、まず緑林軍系の下江軍に名を馳せていました。時代背景としては、彼が活動していた頃は、中国が大きな政治的混乱に見舞われており、豪族や軍閥が争いを繰り広げていた時期にあたります。

光武帝の寵臣としての出発

更始元年（23年）、劉玄が「更始帝」として権力を握ると、龐萌は冀州牧に任命され、更始帝の信任を受ける一員となります。彼は、尚書令謝躬の下で破虜将軍劉秀と共に河北の王郎を討伐し、その戦歴を積み重ねていきました。更始2年（24年）には謝躬が誅殺され、龐萌は劉秀に降伏。これによって彼は新たな道を歩み始めました。

建武元年（25年）、劉秀が光武帝として即位すると、龐萌は侍中に任命されました。彼の温和で謙虚な人柄は光武帝に高く評価され、「若い孤児を託せ、百里四方の国の命を任せるのは龐萌だ」と称賛されるまでになりました。これにより、龐萌は平狄将軍にも任命され、その地位を確固たるものとしました。

栄光からの転落

光武帝の信任を受けながらも、彼の運命は次第に不穏なものとなっていきました。建武4年（28年）、光武帝は龐萌に蓋延と共に命を下し、董憲の配下である賁休を援助する任務を与えますが、この戦闘では敗北を喫しました。この失敗に伴い、彼と蓋延の間には緊張が生まれたと考えられています。

さらに、光武帝が蓋延のみを優遇する詔を出すと、龐萌は自身が陥れられたのではないかという疑念を抱くようになりました。そして建武5年（29年）3月、龐萌は楚郡の太守である孫萌を殺害し、蓋延を攻撃して劉紆に寝返ります。これは彼の生涯の中での大きなターニングポイントとなり、かつての信任を裏切る行動でした。

光武帝は龐萌の反逆を聞き激怒します。「老賊」と罵り、彼を討つよう命じました。龐萌は参加した梁軍の蘇茂の支援を受けて桃城を包囲しますが、最終的には光武帝軍の猛攻により破れます。連戦連敗した彼は、董憲と共に亡命することとなりますが、建武6年（30年）2月には朐が陥落し、追い詰められます。

悲劇的な最期

追撃者である呉漢軍の前に、龐萌と董憲はついに降伏しようと試みました。しかし、彼らの運命はすでに決まっており、二人は捕えられ、命を絶たれました。そしてその首級は洛陽まで送られ、彼の悲劇的な生涯に終止符が打たれました。

龐萌の物語は、栄光から裏切り、そして悲劇への道のりを示しており、当時の中国の混沌とした政局の縮図ともいえるでしょう。

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