谷嵐久

谷嵐久（たにあらし ひさし）は、1952年4月16日に福岡県北九州市で生まれ、大分県中津市で育った元大相撲力士です。本名は山口久（やまぐち ひさし）。時津風部屋に所属し、現役時代の体格は181cm、128kgでした。得意手は突き、押し、寄り。

大分県立中津工業高校で相撲を始め、3年生の時には全国大会で上位入賞を果たすなど、その才能を開花させました。高校卒業間近に知人の紹介で時津風部屋に入門し、1971年1月場所に初土俵を踏みました。当初の四股名は本名と同じ「山口」。

序ノ口の翌場所である3月場所では、7戦全勝で序ノ口優勝を果たし、周囲の期待を集めました。その後、幕下までは順調に番付を上げましたが、幕下上位で長く苦労し、十両昇進は初土俵から約6年4ヶ月後の1977年5月場所でした。この間、四股名を同部屋の先輩である北葉山にちなんだ「若北葉」に改名したこともありましたが、後に元の「山口」に戻しました。

十両では安定した成績を残し、1978年5月場所に新入幕を果たしました。この時、四股名を郷里の大先輩である谷嵐市蔵にあやかり、「谷嵐」に改名しました。

立合いから突っ張り、右四つ、もろ差しでの寄り切りを得意とし、将来を嘱望されましたが、押し相撲とも四つ相撲とも言えない取り口で、幕内での勝ち越しに苦戦しました。1979年1月場所では、初日から7連勝し、最終的に10勝5敗と初めての勝ち越しを決めました。しかし、幕内での勝ち越しは結果的にこの場所のみとなりました。自己最高位である西前頭4枚目で迎えた翌3月場所では、13日目を終えて7勝6敗と勝ち越しのチャンスがありましたが、連敗で7勝8敗と惜しくも負け越しました。

その後は怪我もあり低迷し、同年9月場所を最後に幕内へ復帰することはできませんでした。十両でも勝ち越すことができず、1980年3月場所に幕下へ陥落。同時に四股名も「谷嵐」から本名の「山口」に戻しました。

1981年9月場所には一時十両に復帰しましたが、本来の相撲を取ることができず、その後は幕下にとどまりました。1982年11月場所後、ご当地である九州場所で4勝3敗と勝ち越したのを機に30歳で引退。断髪式は、元小結の双津竜と、元前頭の牧本と合同で行いました。双津竜、牧本ともに同じ1982年11月場所限りで現役を退いた兄弟子でした。

引退後は故郷に戻り、相撲茶屋「谷嵐（なりや）」を経営していました。次男は元プロ野球選手の山口俊で、父である谷嵐が力士であった縁からか、引退後にちゃんこ屋を経営しています。

2010年10月19日、肝臓癌のため大分市内の病院で亡くなりました。享年58歳。

主な戦績

現役在位：71場所
通算成績：345勝292敗12休 勝率.542
幕内在位：7場所
幕内成績：46勝59敗 勝率.438

各段優勝

十両優勝：1回（1978年11月場所）
幕下優勝：2回（1977年3月場所、1982年3月場所）
序ノ口優勝：1回（1971年3月場所）

改名歴

山口 久（やまぐち ひさし）：1971年3月場所 - 1974年11月場所
若北葉 久（わかきたば ひさし）：1975年1月場所 - 1976年9月場所
山口 久（やまぐち ひさし）：1976年11月場所 - 1978年3月場所
谷嵐 久（たにあらし ひさし）：1978年5月場所 - 1980年3月場所
山口 久（やまぐち ひさし）：1980年5月場所 - 1982年11月場所

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