豊島シャトルバス

豊島シャトルバスは、香川県小豆郡土庄町が豊島（てしま）の島内で運行しているコミュニティバスです。2010年 11月3日に運行を始めました。土庄町が所有するバスを使用し、自家用有償旅客運送という形で運営されています。島内の主要な港である家浦港や唐櫃港と、集落や公共施設、美術館などを結ぶ2つのルートが運行されています。

運行開始の背景

豊島は、古くから豊かな自然に恵まれ、漁業や稲作が行われてきました。島の名前もこの豊かな恵みに由来するといわれています。しかし、1970年代以降の産業廃棄物不法投棄問題により深刻な影響を受け、「ゴミの島」という不名誉な呼び方をされることもありました。近年は産業廃棄物の処理が進み、美しい自然の回復を目指しています。同時に、瀬戸内国際芸術祭を機にアート作品が設置され、豊島美術館や豊島横尾館が開館するなど、「アートの島」として新たな魅力による観光復興も図られています。

2010年 7月19日から10月31日にかけて開催された第1回瀬戸内国際芸術祭「アートと海を巡る百日間の冒険」において、豊島は会場の一つとなりました。芸術祭期間中には、島内のアート作品を巡るための無料シャトルバスが走っていました。芸術祭終了後、このバスを島民の日常生活の足となるコミュニティバスへ転用し、「豊島シャトルバス」として運行が始まったのです。

そのため、現在のルートは芸術祭シャトルバスの経路を largely 引き継いでいます。ただし、運行形態の変更に伴い、芸術祭シャトルバスが巡っていた島南東部の一部や、かつて産業廃棄物不法投棄現場だった島の南西部は現在のルートには含まれていません。

運行内容

このバスは運賃を支払って乗車する乗合バスで、島民の方だけでなく観光で訪れた方も利用できます。しかし、使用されている車両は1台のみで、座席数や便数に限りがあるため、土庄町は公式サイトなどで「島民優先」であることを明記し、来訪者の皆様に理解と協力を求めています。主に島民の移動を目的としているため、フェリーや旅客船の発着時刻とは必ずしも連携していません。

運賃は区間に関わらず一律です（2024年6月現在）。
大人（中学生以上）: 200円
小人（5歳 - 小学生）: 100円
5歳未満: 無料

障害者割引もあり、各種手帳の提示で運賃が半額になります。

支払い方法についても変化がありました。2021年10月1日からは、小豆郡内の路線バス全般でIruCaに加え、交通系ICカードの全国相互利用サービスに対応する主要10種類のICカード（Kitaca、PASMO、Suica、manaca、TOICA、PiTaPa、ICOCA、はやかけん、nimoca、SUGOCA）が使えるようになりました。豊島シャトルバスでも、同年10月20日に導入された新型車両の日野ポンチョにはICカードリーダーが搭載され、これらのICカードでの支払いが可能になっています。

路線

豊島シャトルバスのルートは、家浦港を起点・終点とする2つの系統があります（2024年6月現在）。各ルートには固有の名称や愛称はありませんが、路線図ではそれぞれ異なる色（黄色と橙色）で区別されています。

芸術祭シャトルバスからの経緯もあり、観光客の利便性を考慮して、一部の停留所は芸術祭作品の近くに設置されています。路線図には作品の場所も記載されており、バスを利用して島内のアート巡りを楽しめるよう工夫されています。

家浦港 - 唐櫃港線（路線図でのラインカラー：黄色）
家浦港を発着し、島北部の家浦、硯（すずり）、唐櫃（からと）地区を経由して唐櫃港へ向かいます。豊島美術館や森万里子作品の近くにも停車します。
停留所数：7
運行便数：往復各7便
所要時間：約17分
主な停留所：家浦港、硯集会所前、森万里子作品前、清水前、唐櫃岡集会所前、豊島美術館、唐櫃港

家浦港 - 甲生集会所前線（路線図でのラインカラー：橙色）
家浦港を発着し、島南部の甲生（こうう）地区を結ぶ路線です。
停留所数：3
運行便数：往復各4便
所要時間：約8分
主な停留所：家浦港、豊島公民館前、甲生集会所前

車両

豊島シャトルバスでは、これまで複数代の車両が使用されてきました。

初代車両: 日産シビリアン（W40系後期型）が使用されていました。白と紺のツートンカラーで、電動ステップを備えていました。

2代目車両: 2016年10月からトヨタコースターまたは日野リエッセII（B40/50系、登録番号：香川200さ915）のマイクロバスが使用されました。白い車体に島内の児童が描いた豊島の風景の絵がラッピングされ、「Beautiful Island Bus」の愛称で親しまれました。

3代目（現行）車両: 2021年10月20日からは、日野ポンチョ（HX系ショートボディ）が運用されています。鮮やかな赤一色の車体で、初のノンステップバスとして前面には国際シンボルマークとベビーカーマークが貼付されています。1ドア仕様で、定員は28人です。この車両の導入に伴い、ICカードリーダーが設置され、交通系ICカードでの支払いが可能になりました。

豊島シャトルバスは、島内の交通を支える重要な役割を担っています。

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