責任払い

責任払い (せきにんばらい)

責任払いとは、麻雀における特殊なルールの一つで、特定の役満の成立を確定させる副露（鳴き）をさせたプレイヤーに、その役満の点数に対する罰則が課せられるというものです。中国語では「包（パオ）」とも呼ばれます。

歴史

責任払いは、中国麻雀において役満という概念とほぼ同時に生まれたと考えられています。当初は、ロン和了の場合の放銃者一人が全額を支払うことも「包」と呼んでいました。

時代が下ると中国麻雀では責任払いは廃れていきましたが、日本では大三元や大四喜を確定させる3つ目の副露、字牌のみ・老頭牌のみ・同一数牌のみの4つ目の副露など、副露によって3翻以上が確定した場合にも適用されていました。しかし、1952年に発表された報知ルールでは対象が絞られ、四[[槓子]]・大三元・大四喜に限定。字一色・清老頭は、4回目の副露後のツモ和了のみに適用されるようになりました。現在のように役満確定時のみに適用されるようになったのは、1990年代以降のことです。

大明槓による責任払いは、昭和初期に放銃者一人が全額を支払うルールが導入された頃に成立したと考えられています。当初は全国的に普及しませんでしたが、ルールとしては認識されており、一部の競技麻雀団体でも採用されていました。

役満の包

原則として、責任払いは大三元、大四喜、四[[槓子]]に適用されます。

大三元の確定

2種類の三元牌を晒している相手に対して、残りの1種類の三元牌を捨て、それをポンされた場合、大三元を確定させたとして責任払いが発生します。

例：

相手が[🀅][🀆]を晒している状態で、[🀇]を捨ててポンされた場合。

ポンだけでなく、大明槓された場合も同様に責任払いとなります。

大四喜の確定

3種類の風牌を晒している相手に対して、残りの1種類の風牌を捨て、ポンされた場合に責任払いが発生します。

例：

相手が[🀀][🀁][🀂]を晒している状態で、[🀃]を捨ててポンされた場合。

大三元と同様に、ポンではなく大明槓された場合も責任払いとなります。

四[[槓子]]の確定

すでに3つの槓子を晒している相手が、手牌に暗刻子を持っている状態で、その暗刻子と同じ牌を捨てて大明槓された場合に責任払いが発生します。

例：

相手が[🀪][🀪][🀪] [🀫][🀫][🀫] [🀬][🀬][🀬]を晒している状態で、[🀭]を捨てて大明槓された場合。

ただし、四[[槓子]]は他の役満と異なり、確定牌が自明ではないため、責任払いを適用しないルールも存在します。その場合は、フリー雀荘などで「大三元と大四喜のみ責任払いが適用され、四[[槓子]]には適用されない」といった説明がなされます。

役満の包が成立した場合の支払い

これらの役満が確定した場合、その役満で和了した際の点棒のやり取りは以下のようになります。

ツモ和了：確定させた副露をさせた者が全額を支払います。
ロン和了：確定させた副露をさせた者と、放銃者が半分ずつ支払います。

複数の役満が複合した場合、責任払い対象となるのは包の対象となった役のみです。例えば、風牌4種を4副露した者が三元牌の単騎待ちで和了した場合（大四喜・字一色のダブル役満）、

ツモ和了の場合：4種類目の風牌を鳴かせた者が大四喜の全額＋字一色の通常分を支払います。
ロン和了の場合：4種類目の風牌を鳴かせた者は大四喜の半額を支払い、放銃者は大四喜の半額と字一色の全額を支払います。

包が適用されない役満

小四喜、清老頭、字一色、緑一色など、雀頭にも条件がある役満には原則として包は適用されません。責任払いはあくまで「役満を確定させたこと」に対して課される罰則であり、これらの役満は確定していないからです。ただし、これは現代の一般的なルールであり、かつては鳴いても良い役満全てや清一色も対象でした。

ローカル役満に対する包

四連刻や一色四順といったローカル役満にも、包が適用される場合があります。

四連刻の確定: 3つの連刻を副露している相手に、4つ目の連刻をポンさせた場合。
一色四順の確定: 3つの同色の順子をチーしている相手に、4つ目の順子をチーさせた場合。

大明槓の包

大明槓によって嶺上開花が成立した場合、大明槓をさせた者に責任を負わせるルールも存在します。これは現在ではほぼ採用されていませんが、一部の競技麻雀団体やゲームで見られます。

フリテンの状態から大明槓して嶺上で和了した場合など、特殊なケースも存在しえます。

責任払いは、麻雀の戦略に深く関わる重要なルールです。成立条件や支払い方法を正しく理解し、ゲームを有利に進めましょう。

もう一度検索