四槓子

四槓子（スーカンツ）

四槓子とは、麻雀における役満の一つです。暗槓・明槓を問わず、槓子を4つ作って和了（ホーラ）した時に成立します。その成立の難しさから、天和（テンホー）や九蓮宝燈（チューレンポートー）と並び、麻雀で最も成立させることが難しい役の一つと言われています。

概要

四槓子は、4つの面子（メンツ）を全て槓子として晒すため、必ず裸単騎（ダッカンマチ）の状態になります。四暗刻（スーアンコウ）と同様に、使用する牌に制約はありませんが、1人で4回も槓をすること自体が非常に困難です。加えて、残る単騎待ちの雀頭（ジャントウ）を揃える必要があり、役満の中でも特に難易度が高いとされています。

下位役である三槓子（サンカンツ）でさえ、成立を阻害する要因が多いことを考えると、四槓子の難しさは推して知るべしです。その難易度の高さと出現頻度の低さから、「幻の役満」とも呼ばれます。オンライン麻雀の集計では、採用されている役満の中で最も出現率が低いという結果も出ています。

通常、1局内で4回の槓が発生した場合、四開槓（スーカイカン）による途中流局となるルールが一般的ですが、1人が4回の槓を行った場合は、途中流局にはならず局が続行されます。この状況では、四槓子の聴牌（テンパイ）者がいる場合、他家は5回目の槓を行うことができません。なぜなら、4回の槓によって嶺上牌（リンシャンハイ）がなくなってしまうからです。ただし、一部のルールでは5回目の槓を認め、それをもって流局とする場合もあります。

使用する牌に制約がないため、四槓子は他の役満と複合する可能性があります。例えば、4面子全てを暗槓で構成すると、四暗刻単騎（スーアンコウタンキ）と複合します。ただし、天和・地和（チーホー）・人和（レンホー）とは複合しません（これらの役は、副露（フーロ）や暗槓があると無効になるため）。

歴史と原義

古いルールや一部のルールでは、1人が4回の槓を成立させた時点で四槓子の和了と見なす場合があります。この場合、雀頭は不要で、4つ目の槓における嶺上牌の打牌後、他家からのロンがなければ、その時点で四槓子の和了が成立します。これはローカルルールではなく、四槓子の原義とされています。

元々、中国の古い麻雀では、4回の槓は無条件で流局となっていました。しかし、麻雀が日本に伝来し、ルールが日本化される過程で、昭和22～23年頃に「1人で4回の槓を成した場合」を四開槓の特殊ケースとして役満扱いするようになりました。これは、特殊な流局の際に点棒の授受を行うという点で、手役というよりは流し満貫（ナガシマンガン）に近い扱いでした。

その後、「雀頭を揃えないのに和了と見なすのはおかしい」という考え方から、4回の槓の後さらに雀頭を作る必要があるとするルールへと移行していきました。戦後、各種ルールブックもこれに従い、1950年代後半には通常の四面子一雀頭の役として定義付けられました。しかし、古くからのルールを踏襲する一部の雀荘では、現在でも「四槓子は4つ目の槓が成立した時点で和了と認める、雀頭は揃えなくてもよい」としているケースが見られます。

牌姿の例

四槓子は必ず裸単騎になります。

四槓子の包（パオ）

大四喜（ダイスーシー）や大三元（ダイサンゲン）と同様に、四槓子には包則が適用される場合があります。例えば、既に3つの槓子を晒している者に対し、暗刻の牌を切った場合、高確率で大明槓し四槓子へ移行するでしょう。この時、大明槓させたプレイヤーには包が適用されます。

四槓子がその後ツモ和了した場合、包になった者が一人払い（責任払い）になります。ロン和了の場合は、放銃者と包者の折半の支払いになります。役満祝儀の支払いもこれに準じます。なお、4つ目の槓の成立をもって四槓子の和了とするルールの場合は、大明槓が完了した時点で、牌を切った者の放銃として扱われます。

他家の四槓子を警戒するのであれば、生牌を捨てることを避けるという手は有効です。しかし、大四喜や大三元とは異なり、四槓子は役の確定牌が自明ではありません。そのため、四槓子においては包則を採用しない場合もあります。

関連項目

麻雀の役一覧
麻雀用語一覧
* 三槓子 - 四槓子の下位役。四槓子のテンパイに至るには、三槓子のテンパイを経る方法と、あえてテンパイを取らず同種牌4枚+同種牌3枚を抱えて同種牌3枚を槓できるのを待つ方法の2種類のみである。一般には四槓子ともども「幻の手役」と言われる。

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