賈逵 (漢)

賈逵（か き）

賈逵（30年 - 101年）は、後漢時代の著名な儒学者・天文学者であり、字を景伯と称しました。彼は右扶風平陵県（現在の陝西省咸陽市秦都区）の出身であり、前漢の賈誼の9世の孫にあたります。

生涯と学問

賈逵の父である賈徽は、劉歆から『春秋左氏伝』を受け継ぎ、『左氏条例』21篇を著しました。また、『国語』や『周官』も習得し、徐惲からは『古文尚書』を、謝曼卿からは『毛詩』を学びました。賈逵は父の学問を全て受け継ぎ、若い頃から『春秋左氏伝』や五経の本文を暗唱したと伝えられています。

彼は特に『左伝』の古文学を専門としていましたが、『春秋穀梁伝』五家の学（尹更始・劉向・周慶・丁姓・王彦）にも精通していました。身長が8尺2寸（約195cm）と非常に高く、学者たちからは「問事不休の賈長頭」と呼ばれていました。

明帝の時代には、朝廷が神秘主義的な予言書である讖緯を好む傾向を利用し、『春秋左氏伝』を讖緯を用いて解説しました。また、班固と共に校書郎に任じられ、宮中図書の校定や後漢史の整理に従事しました。章帝は儒学を好み、特に『春秋左氏伝』と『古文尚書』を重視したため、建初元年には賈逵が北宮白虎観や南宮雲台でこれらの書物を講義しました。

さらに、今文公羊家の李育を論破し、『古文尚書』を『爾雅』で訓詁したり、詔勅によって『今文尚書』と『古文尚書』の異同、今文三家詩（『斉詩』、『魯詩』、『韓詩』）と『毛詩』の異同をまとめたり、『周礼解詁』を著すなど、古文学の地位を高めることに大きく貢献しました。

天文暦学への貢献

賈逵は天文暦学にも深い知識を持っており、元和年間には四分暦が施行された後、詔勅により四分暦修正の責任者に任命されました。彼は「賈逵論暦四則」（92年）として知られる優れた暦論を残し、月の運行の遅速などを指摘しました。この内容は『後漢書』律暦志に詳しく記載されています。

著作と後世への影響

賈逵は多数の著作を残しましたが、その多くは散逸して現存していません。『春秋左氏伝解詁』や『国語解詁』といった経書の注釈や、詩・頌・誄などが含まれていました。現在では、清の馬国翰の『玉函山房輯佚書』や黄奭の『漢学堂叢書』にわずかに集められているのみです。また、『左伝』に関する注釈の一部は、清の劉文淇の『春秋左氏伝旧注疏証』に収録されています。

賈逵の学問的業績は、後漢時代の儒学や天文学の発展に大きく寄与しました。彼の研究は、後世の学者たちにも大きな影響を与え、古典研究の基礎となりました。

関連項目

* 1世紀生まれの天文学者

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