跡部良顕

跡部良顕（1658年 - 1729年）は、江戸幕府の旗本であり、神道家としても名を残した人物です。通称は宮内または孫八郎、号を光海と称しました。

跡部良隆の子として江戸に生まれ、幕府旗本となりました。その後、幕府を退き、正親町公通や渋川春海の門下で神道を、佐藤直方や浅見絅斎の門下で儒学を学びました。同時期に活躍した若林強斎と同様に、山崎闇斎が提唱した儒教と神道の概念を一致させる「崎門学派」の一説を唱え、その学派の復興に尽力しました。

崎門派は、山崎闇斎によって確立された神道儒学の一派であり、垂加神道とも呼ばれます。朱子学を基盤としつつ、神道を日本の根源的な道として重視し、儒学の倫理と神道の祭祀を融合させることを目指しました。良顕は、この崎門派の思想を継承し、その普及に貢献したのです。

良顕は後に失明しましたが、伴部安崇の助けを得て、自らが唱えた神道の学派の普及に尽力しました。視力を失った後も、学問に対する情熱と、それを広めようとする意志を持ち続けたことは、特筆に値します。

その功績により、大正4年（1915年）には従五位が追贈されました。墓所は東京都港区にある玉窓寺にあります。

主な著作としては、『南山編年録』や『神代巻渾沌草』などが挙げられます。これらの著作を通して、彼の神道思想や歴史観を知ることができます。

跡部良顕は、江戸時代の思想界において、神道と儒学の融合を追求し、崎門派の復興に貢献した重要な人物です。彼の学問に対する姿勢と、困難に立ち向かいながらも自己の信念を貫いた生き方は、後世に大きな影響を与えました。

参考文献

デジタル版 日本人名大辞典+Plus（講談社）『跡部良顕』- コトバンク
朝日日本歴史人物事典（朝日新聞出版）『跡部良顕』- コトバンク
日本大百科全書（小学館）『跡部良顕』- コトバンク
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典（ブリタニカ・ジャパン）『跡部良顕』- コトバンク

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