軍政監

軍政監（Major-Generals）

軍政監は、清教徒革命の時代にイングランド共和国で設立された軍事的な行政組織であり、当初は反対派の摘発と道徳の規制を目的としていました。しかし、この制度は実施されてから短期間で廃止されることとなりました。その理由には、制度に対する不評が大きく影響しています。

背景と設立

1655年の1月に第一議会が解散された後、護国卿オリバー・クロムウェルは、社会的不安と政権運営の難しさに直面していました。平等派や第五王国派、王党派などの反対派による反乱の計画が相次ぎ、治安の維持が急務となりました。そこで、クロムウェルは軍事独裁の可能性を模索し始めます。

彼の取り巻きであるジョン・ランバートの提案を受けて、イングランドは11の軍管区に分割され、それぞれに軍政監が任命されました。主にニューモデル軍から選ばれた少将たちが担当し、クロムウェルの側近や親族が多くのポジションを占めました。一方で、スコットランドとアイルランドでは、ジョージ・マンクとヘンリー・クロムウェルがそれぞれの地域を治めることとなりました。

任務と影響

軍政監の主な任務は、管轄地域内の反乱や陰謀の摘発、ピューリタンの道徳的価値観の厳守を市民に促すこと、そして地方官僚の業務の監視でした。この制度の財源は、王党派に科せられた罰金十分の一税（教会税とは別）からまかなわれ、そこから徴募された兵士を地域に配備していました。軍政監には最大で500人の兵が配属され、騎兵部隊や地域の民兵隊を指揮する権限も与えられていました。このように軍政監は地方に対して威圧的な姿勢を取ることが多く、その結果、民衆や地方官僚からの反発を招くことになりました。

民衆は競馬や演劇、飲酒などの娯楽を奪われ、個人の自由にも干渉されることから、強い怒りを感じていました。また地方官僚は、中央から自らの職務を奪われることに敵意を抱き、不満が高まる一方でした。こうした状況から、制度は設立当初からあまり好意的には受け入れられませんでした。

裁決と廃止

1656年9月に召集された第二議会では、軍政監に対する不満が一層顕在化し、議会において国務会議や軍政監への厳しい非難が巻き起こりました。同年の1月には、政府が十分の一税の継続を求める法案を提出しましたが、大多数により否決され、その後の継続が難しくなりました。これにより、軍政監は廃止を余儀なくされました。

廃止と同時に、政治体制の変革も求められるようになり、議会は統治章典の修正案を提出しました。この修正案はクロムウェルによって受け入れられたため、軍事独裁の時代は終わりを迎え、王政の復元への道が開かれることになりました。これにより、軍政監制度は歴史の中での一過性の現象として記憶されることとなったのです。

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