軽鉄 (香港)

概要

軽鉄は、香港郊外の新界西部地域における交通の利便性向上を目的に、1988年に開業しました。当初は九広軽鉄という名称でしたが、現在は港鉄（MTR）によって運営されています。路線は屯門区と元朗区を中心に、きめ細かく設定されており、地域住民の日常生活に不可欠な交通手段となっています。

運行形態は、1両または2両編成の車両が使用され、各路線の終点などではループ線を利用して方向転換を行います。このため、車両の運転台は進行方向のみに設置されており、ドアも進行方向左側のみとなっています。これは、ヨーロッパの路面電車にも見られる特徴です。最高営業速度は70km/hに達し、「高速路面電車」とも呼ばれています。

運賃の支払い方式は、車内に運賃箱などは設置されておらず、乗客は停留所や安全地帯に設置されたリーダーにICカード（オクトパス）をタッチするか、券売機で乗車券を購入します。乗車券は基本的に提示する必要はありませんが、係員が巡回しており、必要に応じて提示を求められる場合があります。不正乗車に対しては高額な罰金が科せられます。

2003年には、元朗駅と屯門駅間を結ぶ西鉄線（現在の屯馬線）が開通し、オクトパスを利用して屯馬線と軽鉄を乗り継ぐ場合、一定区間まで軽鉄の運賃が無料になるサービスが導入されました。なお、ICカードと乗車券では運賃計算方法が異なるため、場合によってはICカードの方が安くなることもあります。

路線データ

駅数: 68駅
軌間: 1,435mm (標準軌)
複線区間：全線
電化区間: 全線 (直流750V)
閉塞方式: 非閉塞式
併用軌道区間：あり
運行形態：普通電車、1両または2両編成。信用乗車方式を採用。

歴史

1970年代、香港政府は屯門地区での宅地開発計画に合わせて鉄道建設を計画していました。しかし、どの鉄道会社に運営権を与えるかは未定でした。1982年に、政府は香港トラム社を保有する九龍倉グループに鉄道建設と運営を打診しましたが、同グループは辞退。その後、政府は九広鉄路に建設を依頼し、1984年に正式に決定、1985年に着工しました。

当時、屯門区と元朗区でバス路線網を広げていた九龍バスは、軽鉄との競合を懸念しました。そのため、政府は「軽便鉄道独占エリア」を設け、九龍バスに一部バス路線の撤退を求め、代わりに市街地への路線開設を許可しました。また、軽便鉄道駅と住宅地を結ぶ連絡バスの運営を九広鉄路に認可し、九龍バス路線の代替としました。

開業当初は1988年8月8日を予定していましたが、試運転中に事故が多発したため、安全対策が講じられるまで開業が延期され、同年9月18日に正式開業となりました。開業当初の路線は、屯門總站から元朗方面へのメイン路線と、屯門地区内の住宅地を結ぶ2ルートのみでした。その後、路線網は拡張され、料金ゾーンも当初の5つから6つに変更されました。

車両

現在、122両の車両が運用されています。1両あたりの定員は約200名で、オレンジ色を基調としたカラーリングですが、路線ごとに異なる色が配されています。

主な製造時期と製造メーカーは以下の通りです。

1988年9月18日～：第一期オーストラリア・コメンジ製 (車両番号 1001-1070)
1992年～1993年：第二期日本・川崎重工業製 (車両番号 1071-1090, 1201-1210)
1997年～1998年：第三期オーストラリア・Goninan製 (車両番号 1091-1110)
2009年～：第四期中国、オーストラリア・United Goninan製 (車両番号 1111-1132)

一部の車両は、事故により廃車となっています。また、1201～1210は、2両連結時の増結専用車両であり、運転台や前面方向表示器は設置されていません。

現行路線

2005年7月30日現在、8つの普通路線と4つの区間運行路線が存在します。路線ごとに色分けされており、主な路線は以下の通りです。

505: 三聖－兆康
507: 屯門碼頭－田景
610: 屯門碼頭－元朗（大興、蝴蝶経由）
614: 屯門碼頭－元朗（景峰、市中心経由）
614P: 屯門碼頭－兆康 (614線の区間運行)
615: 屯門碼頭－元朗（良景、蝴蝶経由）
615P: 屯門碼頭－兆康 (615線の区間運行)
705: 天水囲循環線（天慈→天逸→天耀経由）
706: 天水囲循環線（天耀→天逸→天慈経由）
751: 天逸－友愛
751P: 天逸－天水囲 (751線の区間運行)
761P: 天逸－元朗

過去の路線

開業当初から廃止された路線も多く存在します。主な路線は以下の通りです。

506: 屯門碼頭－友愛
511: 兆康－屯門碼頭
551: 田景－三聖
552: 屯門碼頭－兆康
553: 屯門碼頭－兆康
611: 屯門碼頭－元朗
612: 安定－元朗
613: 元朗－三聖（未運行路線）
651: 兆康－元朗
701: 天水囲南循環線
702: 天水囲北循環線
720: 友愛-天栄
721: 天栄－元朗
722: 兆康－天栄
751P（初代）: 天瑞－友愛
761: 天栄-元朗

駅一覧

軽鉄の駅は料金エリア別に分けられています。

関連項目

ライトレール

外部リンク

公式サイト（中国語版）
公式サイト（英語版）

もう一度検索