西鉄線

西鉄線（かつての香港鉄道路線）

西鉄線は、かつて香港に存在した鉄道路線で、香港鉄路有限公司（MTR）によって運営されていました。2003年に開通し、九龍半島の紅磡駅と新界の屯門駅を結んでいましたが、2021年6月27日に屯馬線に併合され、その歴史に幕を閉じました。この路線は、かつて九広西鉄と呼ばれていました。

概要

西鉄線は、2003年に開通した比較的新しい路線です。開通当初は、九龍半島西側の南昌駅と新界西部の屯門駅を結んでいました。当時、新界地域と香港中心部を結ぶ公共交通機関はバスが中心で、ベッドタウンであるにもかかわらず交通の便が良いとは言えませんでしたが、西鉄線の開通によって交通の利便性は飛躍的に向上しました。

また、新界北西部にはすでにLRT（軽便鉄道）が開通しており、西鉄線とLRTが接続することで、この地域の移動が非常に便利になりました。2009年には路線が延伸され、南昌駅から柯士甸駅、尖東駅を経由して紅磡駅まで接続されました。これにより、新界北西部から尖沙咀や紅磡といった主要地区へ乗り換えなしで移動できるようになっただけでなく、東鉄線経由で新界北東部や中国本土へのアクセスも容易になりました。

2021年6月27日には、屯馬線の開業により、路線が大囲まで延伸され、馬鞍山線と接続されました。これにより、西鉄線は屯馬線の一部として組み込まれ、新たなネットワークを形成することになりました。

歴史

1998年10月26日：九広西鉄の建設工事が開始されました。
2003年12月20日：九広西鉄の南昌 - 屯門間が開業しました。この際、SP1900形電車7両編成22本が投入され、全駅にホームドアが設置されました。
2004年10月24日：九広東鉄の紅磡 - 尖東間が開業しました。
2007年12月2日：路線の運営権が九広鉄路公司から香港鉄路有限公司に移管され、路線名が西鉄線に変更されました。
2009年8月16日：延伸区間（尖東 - 南昌、計画名：九龍南線）が開業し、東鉄線の紅磡 - 尖東間が西鉄線に編入されました。また、7両編成6本が追加投入されました。
2016年1月2日：ラッシュ時の混雑緩和のため、8両編成のSP1900形電車の運行が開始されました。これは、沙田至中環線の建設に伴う措置でもありました。
2018年5月27日：全列車が8両編成での運行となりました。

路線データ

路線距離（営業キロ）：35.7 km
駅数：12駅
複線区間：全線（ただし、紅磡 - 尖東間は単線並列）
軌間：1,435 mm（標準軌）
電化区間：全線（交流 25,000 V・50 Hz）
車両基地：八郷車両基地
閉塞方式：Seltrac IS車内信号閉塞式（LZB+TASC）
地上区間：錦上路駅東南 - 屯門駅間、美孚駅 - 南昌駅間、紅磡駅
走行方向：左側通行

運行形態

2016年時点では、紅磡 - 屯門間を各駅に停車する普通列車のみが運行されていました。通勤・通学ラッシュ時の混雑緩和のため、平日朝8時台には天水囲発紅磡行きの列車が2本、平日夕方18時台には南昌駅発屯門行きの列車が1本運行されていました。また、早朝には東鉄線への接続や、八郷メンテナンスセンターへの車両出入庫のため、一部列車が紅磡 - 尖東間や美孚間、錦上路発屯門行きとして運行されていました。

車両

西鉄線で使用されていた主な車両は以下の通りです。

九広鉄路SP1900形電車（契約番号SP1900）：2018年6月から、全列車が5ドアの通勤電車8両編成36本で運行されました。8両編成化以前は、7両編成28本が使用されていました。これには、2002年と2003年に新造された22本、2007年に新造された4本、2007年に元馬鞍山線のE500番台電車（契約番号SP1950）から転入・改造された2本が含まれていました。8両編成化の際には、一部の元東鉄線用E200番台12両編成と、元馬鞍山線用E500番台4両編成が西鉄線に転属・改造されました。また、MTR初のドア鴨居部および車端部にLCD案内表示機が設置され、ドア鴨居部には次駅などが、車端部画面には次駅と行き先が表示されるようになりました。

2014年には、沙田至中環線の建設に伴い、伊藤忠商事、川崎重工、近畿車輛の3社連合（IKK-Consortium）に348両の改造（E200・E300・E500番台全車両）と、中間車36両を含む8両編成17本計136両の新造が発注されました。東鉄線E200番台のうち「頭等車」（グリーン車）は普通車への格下げ改造が行われました。なお、組み換えにより発生する余剰の先頭車は廃車になる見込みでした。

駅一覧

西鉄線には以下の駅がありました。

1. 紅磡駅 (Hung Hom)
2. 尖東駅 (East Tsim Sha Tsui)
3. 柯士甸駅 (Austin)
4. 南昌駅 (Nam Cheong)
5. 美孚駅 (Mei Foo)
6. 荃湾西駅 (Tsuen Wan West)
7. 錦上路駅 (Kam Sheung Road)
8. 元朗駅 (Yuen Long)
9. 朗屏駅 (Long Ping)
10. 天水囲駅 (Tin Shui Wai)
11. 兆康駅 (Siu Hong)
12. 屯門駅 (Tuen Mun)

事故

2007年2月14日午前9時15分（現地時間）、SP1900形電車がトンネル内で火災を起こし、緊急停車する事故が発生しました。乗客約650人がトンネル内を約2キロ歩いて避難しました。煙を吸い込んだ乗客11人が病院に搬送されましたが、死者や重傷者はいませんでした。火災は2回の爆発を伴っており、現地報道では、車両の屋根に取り付けられた変圧器からオイルが漏れ、それに引火したのが原因と伝えられています。

関連項目

香港の鉄道

この情報は、西鉄線の歴史と特徴を理解する上で役立つでしょう。

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