近藤秀樹

近藤秀樹：中国近代史研究における貢献

近藤秀樹（1932年-1987年）は、日本の中国近代史研究において重要な役割を果たした歴史学者です。新潟県長岡市に生まれ、新潟県立長岡高等学校を経て京都大学文学部史学科に進学。東洋史を専攻し、同大学大学院修士課程、博士課程を修了しました。

大学卒業後は、クラレチアン会立の高校教諭や大阪工業大学一般教育科で社会思想史を担当するなど、教育の現場で経験を積みました。1978年からは新潟大学で中国史の講義を行い、後進の指導にあたりました。その教育者としての経験と深い専門知識は、多くの学生に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

近藤秀樹の研究活動は多岐に渡ります。彼の業績の中でも特に注目すべきは、1963年に発表された「范氏義荘の変遷」（『東洋史研究』21巻4号）です。この論文は、義荘研究において必読文献として高く評価されており、中国近代社会の理解に重要な貢献を果たしました。

また、近藤秀樹は単著、編著、寄稿、校注、訳書など、幅広い分野で著作活動を行いました。単著としては、曽国藩を論じた『曽国藩』（宮崎市定監修、人物往来社）が知られています。この著作は、中国近代史における重要な人物像を明らかにする上で重要な貢献を果たしました。

編著では、『日本の名著 45 宮崎滔天・北一輝』が挙げられます。この著作は、近代日本の思想史を理解する上で重要な資料となっています。さらに、宮崎滔天に関する研究にも力を注ぎ、『宮崎滔天全集』の責任編集や『三十三年の夢』（島田虔次共校注、岩波文庫）の校注などにも携わっています。

その他にも、多くの学術雑誌や書籍に論文や寄稿を執筆し、中国近代史研究に多大な貢献を果たしました。『講座中国 2 旧体制の中国』（吉川幸次郎編、筑摩書房）、『岩波講座世界歴史 第12』（岩波書店編、岩波書店）、『世界の名著 64 孫文・毛沢東』（小野川秀美責任編集、中央公論社）など、著名な書籍への寄稿も多数あります。

近藤秀樹は、単なる研究者としてだけでなく、教育者としても、そして編者や翻訳者としても、中国近代史研究の発展に貢献しました。彼の多様な活動と深い学識は、現代の中国近代史研究にも大きな影響を与え続けています。彼の業績は、今後も歴史研究者によって高く評価され、研究の基礎となる重要な資料として活用されるでしょう。彼の残した膨大な著作は、これからも多くの研究者や学生にとって貴重な資源であり続けることでしょう。

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