遍照寺 (真岡市)

遍照寺について

遍照寺（へんじょうじ）は、栃木県真岡市に位置する真言宗智山派の寺院です。山号は如意山で、主祭神には金剛界大日如来が祀られています。この寺の創立者は足利基氏で、現在の地に移ったのは中村時長によるもので、長い歴史の中でさまざまな変遷を経てきました。

歴史

遍照寺の歴史は暦応年間（1338年 - 1339年）に遡ります。当時、足利基氏は京都の醍醐寺三宝院から「如意山寶珠院遍照寺」という名前を賜り、室町幕府の足利尊氏の護廷僧であった賢俊僧正によって中村城の近くに寺を開きました。この寺は官寺と呼ばれ、通称で「関北霊場中村大師」として知られています。

天文年間（1547年～1555年頃）には、中村城の最後の城主である宇都宮氏の臣、中村時長が寺の再興を行い、現在地へと移転しました。しかし、永禄元年（1558年）には遍照寺が焼失し、当時存在した五重塔や大門、山門など重要な建物が失われました。天正年間（1573年 - 1592年）には、現在の地に再建がなされ、寺の復興が進められました。

伽藍

遍照寺には多くの重要な建物が存在します。金堂や不動堂は特に価値があるとされており、市の指定文化財となっています。江戸時代に創建された不動堂には秘仏として木造不動明王立像が祀られています。また、大師堂には弘法大師像、薬師堂には薬師如来、観音堂には木造馬頭観音坐像が安置されています。さらに、講堂、庫裏、書院、小太郎神社など、さまざまな施設があります。特に小太郎神社は、中村城の最後の城主である中村小太郎時長を祀るために設けられました。なお、遍照寺の境内は中村城跡でもあり、四方にはその遺構を示す堀があります。

文化財

遍照寺には多くの有形文化財が指定されています。特に、金剛界大日如来坐像は昭和36年に指定された重要な本尊で、南北朝時代に法印康誉によって制作されたものです。像は寄木造りであり、高さ51cm、膝幅45cm、台座は33cmです。また、中村城跡も昭和35年に指定され、その歴史的価値が認識されています。さらに、胎蔵界大日如来や不動堂、春日曼荼羅なども重要な文化財です。

文書としては、室町時代の文書が平成12年に指定され、古河公方足利成氏や足利政氏の書状が含まれています。江戸時代の文書には、いわくつきの不動明王が返還される際の添状が含まれています。自然環境においても、遍照寺のカヤは県指定の天然記念物で、樹齢約800年とされ、奥州伊達家との関わりが伝えられています。また、遍照寺のヤブツバキも市の指定名木として知られています。

関連情報

遍照寺に訪問することで、歴史的な価値の高い建物や文化財を直接見学できる機会があります。また、近隣には中村城跡や中村氏の歴史も感じられる場所があり、文化的な探訪が楽しめます。

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