道明寺 (藤井寺市)

道明寺

道明寺（どうみょうじ）は、大阪府藤井寺市道明寺にある真言宗御室派の寺院です。山号は蓮土山、本尊は十一面観音で、尼寺として知られています。聖徳太子の創建発願、菅原道真ゆかりの寺として、深い歴史と豊かな文化を今に伝えています。

歴史

道明寺の地は、菅原道真の祖先である土師氏の根拠地でした。推古天皇2年（594年）に聖徳太子が尼寺建立を発願し、土師連八嶋が邸宅を寄進して土師寺が創建されました。土師寺は土師氏の氏寺として、また神宮寺として発展し、七堂伽藍や五重塔を備えた大規模な寺院となりました。

延喜元年（901年）、大宰府へ左遷される菅原道真が、叔母である覚寿尼を訪ねた際、「鳴けばこそ別れも憂けれ鶏の音のなからん里の暁もかな」と歌を詠み、別れを惜しんだと伝えられています。この故事は、人形浄瑠璃・歌舞伎『菅原伝授手習鑑』の「道明寺」の場にも描かれています。

道真の死後、天暦元年（947年）には、道真自刻と伝わる十一面観音像を祀り、土師寺を道明寺と改称しました。この名称は、道真の号である「道明」に由来します。同時期に、土師神社内に天満宮も創建されましたが、後に天満宮が中心となっていきました。

鎌倉時代には大和国西大寺の末寺となり、忍性によって鎌倉幕府、続く室町幕府の祈祷寺となりました。天正3年（1575年）には高屋城の戦いの兵火で大部分が焼失しましたが、後に再興されました。正徳6年（1716年）には石川の氾濫により、道明寺を天満宮境内に移転。道明寺本堂が天満宮本殿のすぐ西隣に建てられるなど、両者は一体化していきました。

1872年（明治5年）の神仏分離令により、道明寺の五坊のうち二之室が神職家となり、天満宮は土師神社（現在の道明寺天満宮）に改称されました。翌1873年（明治6年）には、道明寺は天満宮から分離し、東高野街道を隔てた現在の地に移転しました。境内には、当時の堂の礎石が残っています。また、南には五重塔跡の礎石も残っています。

境内

本堂 - 大正8年（1919年）再建。
大師堂
護摩堂
東門
庫裏
庭園
楼門
五重塔跡 - 礎石が残る。

文化財

国宝

木造十一面観音立像 - 平安時代初期（9世紀）の作。菅原道真の作と伝えられています。カヤ材の一木造で、彩色を施さない素地仕上げの檀像様（だんぞうよう）の作品です。像高98cm。

重要文化財

木造十一面観音立像（試みの観音） - 伝菅原道真作。
木造聖徳太子立像 - 像内に「実舜」「了真」の針書があります。
附：像内納入品
紺紙金字細字法華経 1巻
勝鬘経 1巻
大般若経巻第五百七十八・般若心経 合1巻
十大受章・普賢十願・唯識三十頌・般若心経・略法華経 合1巻
弘安九年四月五日仮名願文 1通
善光寺如来聖徳太子問答 1通
錦袋・香木 一括

札所

聖徳太子霊跡第3番
河内飛鳥古寺霊場第5番

道明寺糒（ほしい）・道明寺粉

道明寺の尼僧が作る糒は古くから有名です。『和漢三才図会』では、道明寺糒と並んで仙台糒が佳品とされています。仙台糒は伊達政宗が道明寺糒を参考にして作らせたものです。道明寺糒を粗めに挽いたものが道明寺粉で、和菓子の材料として用いられます。関西風桜餅を「道明寺」と呼ぶこともあります。

道真の大宰府左遷後、覚寿尼は九州へ向けて米飯を毎日供えるようになり、その下がりを食べると病気が治ると評判になりました。希望者が増えたため、乾燥・貯蔵するようになったのが道明寺糒の始まりとされています。道明寺糒は千年以上の歴史があり、現在も販売されています。

包装紙に印字されている「ほしいひ」の文字は豊臣秀吉の直筆と伝えられています。

交通

近鉄南大阪線・道明寺線 道明寺駅より西へ約500メートル。

外部リンク

公式ウェブサイト
道明寺 藤井寺市
* 道明寺 OSAKA-INFO

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