遠山友明

遠山友明（とおやま ともあき）

遠山友明は、江戸時代中期の大名であり、美濃苗木藩の第8代藩主です。享保元年（1717年）12月26日に、常陸府中藩主である松平頼明の三男として誕生しました。母は久野安静の娘である留与です。

享保18年（1733年）3月11日、友明は第7代藩主・遠山友央の養嗣子となり、4月5日に遠山家に入りました。その後、友央の長女と婚姻を結んでいます。同年5月1日には、将軍・徳川吉宗に謁見し、12月18日には従五位下に叙任され、丹後守を名乗りました。翌年の享保19年（1734年）2月12日には、名を友張に改名しています。

元文5年（1740年）8月27日、友央が隠居したため、友明が家督を相続し、苗木藩の第8代藩主となりました。寛保元年(1741年)4月24日に江戸を出発し、5月1日に初めて苗木城へ入城しています。寛保2年(1742年)6月2日には、佐渡守に改めました。

寛保3年(1743年)9月5日、妻の俊が16歳という若さで亡くなり、江戸高輪の東禅寺に葬られました。延享2年（1745年）1月29日、友明は友央の長男である左吉（後の遠山友清）を養子に迎えています。

苗木藩は、友明が藩主となる以前、享保17年（1732年）に500石の旗本であった遠山友央が、遠山友将の死去により末期養子として苗木藩主を相続した際、旗本として分知されていた500石を飛騨に近い加茂郡佐見村の4村を幕府に渡し、高山陣屋の飛騨郡代の支配下に置かれていました。しかし、延享2年（1745年）7月に高山陣屋の飛騨郡代が交代した際、佐見村の内、210石は本田であるが、290石は新田であるため上知できないとして、別の村から本田290石を差し出すように求められました。その結果、下野村369石のうち290石を幕府に渡し、残りの79石を苗木藩に残すことで、佐見村内の新田分の290石が苗木藩に戻されました。

延享5年（1748年）5月15日、友明は再び名を改名し、現在の名である友明としました。

友明は、江戸において呉服橋御門番、日比谷御門番、常盤橋御門番といった要所の警備も担当しています。

宝暦3年（1753年）春に病を発症し、6月1日に江戸で亡くなりました。享年37歳でした。友明の死後、養嗣子である友清が苗木藩主を継ぎました。墓所は岐阜県中津川市苗木の苗木遠山家廟所にあります。


参考文献

『苗木藩政史研究』　第一章　苗木藩の成立　第一節　苗木藩の成立事情　二　歴代藩主の素描　八代丹後守友明　p13～p14　後藤時男　中津川市　1982年
『中津川市史　中巻Ⅰ』　第五編 近世（一） 第一章 支配体制と村のしくみ　第三節　領主の略系譜　一　遠山家　遠山丹後守友明　p48　中津川市　1988年　
『恵那郡史』　第七篇　江戸時代　(近世「領主時代」)　第二十八章　諸藩分治　其二　苗木藩距江戸　遠山友明　p235　恵那郡教育会　1926年　
『福岡町史　通史編 下巻』　第五部 近世　第一章　近世における苗木藩の概観　第一節 苗木藩成立と領村支配　苗木遠山氏と藩主　p1～p8　福岡町　1992年
* 『美濃苗木 遠山家譜』（写本）、東京大学史料編纂所蔵

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