遠山直景

遠山 直景とは

遠山直景（とおやま なおかげ）は、戦国時代において重要な役割を果たした武将であり、後北条氏の家臣として知られています。特に武蔵国の江戸城代を務めたことで、その名は歴史に刻まれています。彼の出自には諸説あり、明確ではありませんが、室町幕府の奉公衆である美濃遠山氏の一族と考えられています。

生涯の概要

直景は、伊勢宗瑞に仕えた可能性が高く、彼の活動は永正3年（1506年）から確認されています。宗瑞から与えられた相模国松田郷の領地は138貫文であり、直景にとっての本領として扱われたと推測されています。

北条氏綱との関わり

直景は、大永3年（1523年）に北条氏綱が修復した箱根権現社の棟礼に家臣として署名しており、この時期には既に筆頭家老としての地位を確立していたと考えられています。

大永4年（1524年）1月には、北条氏綱の指揮のもと、江戸地域に侵攻し、扇谷上杉家の拠点である武蔵国江戸城を攻略しました。この際、直景は二の丸に配置され、城代としての役割を担いました。また、氏綱が古河公方・足利高基との交渉を行おうとした際には、直景が起請文を提出しており、その信任の証とも言える行動を取っています。

軍事行動における指導

享禄2年（1529年）から同3年にかけての武蔵西部での軍事行動においては、北条軍の総大将として指揮を執っています。彼の戦いは、戦国時代の武将たちにとって非常に重要な意味を持つものでした。

最期と家督

遠山直景は天文2年（1533年）3月13日に亡くなりました。その後、家督と江戸城代の地位は嫡男の綱景が引き継ぎました。直景の死後、彼の家系は続いていくことになります。

軍記物に残る逸話

軍記物『関東古戦録』には、直景にまつわるエピソードが描かれています。この書物では、太田康資の戦いぶりが紹介されており、康資が8尺余の鉄棒を振り回して敵を次々となぎ倒す様子が描かれています。しかし、直景は無実の馬まで容赦なく攻撃することに対し、批判的な見解を示しました。

その結果、康資が直景に対して立ち向かい、彼の甲冑が砕かれ、力尽きる様子も記録されています。興味深いことに、康資は直景の首を取らなかったとされ、この逸話は直景の名声に影響を与えたことでしょう。

参考文献

• - 黒田基樹『戦国北条五代』星海社〈星海社新書〉、2019年。
• - 黒田基樹『戦国関東覇権史 北条氏康の家臣団』KADOKAWA〈角川ソフィア文庫〉、2021年。

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