遥かな友に

「遥かな友に」は、作曲家である磯部俶氏によって作詞・作曲された楽曲です。この曲は、まず無伴奏の男声合唱版として作曲され、後に様々な形態に編曲されました。

誕生の背景

1949年から1951年の間、早稲田大学グリークラブは夏と秋に神奈川県津久井郡青根村（現在の相模原市緑区）のキャンプ場である夫婦園で合宿を行っていました。1951年7月12日、新入部員たちが枕投げで騒ぎ、なかなか寝静まらない状況に、上級生たちは頭を悩ませていました。そこで、グリークラブのOBであり、当時の指揮者であった磯部俶氏に相談したところ、彼は腹ばいになりながら五線紙もない状況で即興的に「遥かな友に」を作曲したとされています。この曲の初演は、1951年11月26日に行われた第2回早関交歓演奏会で、磯部氏自身の指揮による合同演奏でした。

社会現象

1961年、ボニージャックスのシングル盤レコードが発売され、大ヒットを記録したことをきっかけに、この曲は合唱界だけでなく一般にも広く愛唱されるようになりました。1963年2月から3月にかけては、NHKの「みんなのうた」でもボニージャックスの歌唱が「はるかな友に」というタイトルで放送されました。その後、1973年10月から11月にかけては映像がカラー化されたリメイク版が放送され、翌年の1974年にも再放送されました。さらに、1988年にはラジオのみで再放送され、2006年から2007年にかけては、NHK衛星第2（現：BSプレミアム）の「なつかしのみんなのうた」でもリメイク版が放送されました。2011年には「みんなのうたスペシャル 1960'sセレクション」で放送されましたが、初回放送版が現存していなかったため、リメイク版が使用されました。

地域との繋がり

1986年には、夫婦園近くの休暇村に「遥かな友に」の歌碑が建てられ、これを機に津久井町は「合唱の里」を宣言しました。1992年からは毎年9月に「『遙かな友に』道志川合唱祭」が開催されています。2001年には、夫婦園に「『遥かな友に』誕生の地碑」が建立されました。

楽曲の特徴

磯部氏の原曲である男声合唱曲は、イ長調で作曲されています。その後、作曲家によって変ロ長調に移調されたほか、林雄一郎氏の編曲によるハ長調版も存在します。このハ長調版は、福永陽一郎氏と北村協一氏によって編纂された『グリークラブアルバム１』に収録されています。

その他

この曲は、「日本の合唱作品100選」にも選ばれており、その美しい旋律と歌詞は多くの人々に感動を与え続けています。また、当時早稲田グリーの1年生であった須賀敬一氏は、枕投げに参加していた一人として知られています。

「遥かな友に」は、その誕生から現代に至るまで、多くの人に愛され、歌い継がれている日本の合唱音楽における重要な作品の一つです。

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