里見義重

里見義重（さとみ よししげ）

里見義重は元亀元年（1570年）に生まれ、元和8年（1622年）に亡くなった日本の武将です。彼は安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍し、里見義弘の嫡男として知られています。幼名は梅王丸であり、その母は古河公方の足利晴氏の娘でした。彼は安房里見氏の当主とされていますが、後に義頼によって無理やり出家させられ、淳泰という名を名乗ることとなった経緯を持っています。

生涯と背景

彼の名前が記載された証拠として、鶴谷八幡宮に残る元亀3年（1572年）12月20日付の棟札があります。この文書から、彼の生年は1572年以前であると推測されています。実際の名については、天正年間に鹿野山神野寺に納められた棟札や『系図纂要』にも記載されていますが、一般的には梅王丸の名前が使用されています。

里見義弘は、まず小弓公方の足利義明の娘である青岳尼を正室として迎えましたが、子供を授かることなく早逝しました。その後、北条氏との対立の中で、古河公方家との同盟を結び直し、足利晴氏の娘を後室に迎え入れ、梅王丸が誕生しました。しかし、この出来事が義弘の庶長子である義頼や、多くの家臣たちの不満を招く要因となりました。義弘は梅王丸を家督にさせる一方で、義頼には安房一国を譲る妥協案を提示しました。

義弘が天正6年（1578年）に死去すると、彼の側近や重臣たちは梅王丸を新しい当主として立てました。この決定は、義頼や他の安房のかかわりを持つ者たちの猛反発を引き起こし、葬儀にも彼らは参加しませんでした。このような異常な事態は2年にわたって続き、両地域の関係は緊張し続けました。

続く天正8年（1580年）、義頼は義弘の旧臣である正木憲時を討つことを名目に反旗を翻し、自らの勢力を拡大していきました。彼は先に主要な拠点を制圧し、梅王丸を包囲する状況を作り上げ、最終的には梅王丸との約束によって無血開城を選びつつも、義頼派の勝利を確実なものとしました。

その後、梅王丸は義頼の意向で出家し、淳泰を名乗って生きていくこととなります。彼は岡本城の近くの聖山に住みつつ、後に泉慶院の住職となりました。そして、里見氏が改易された後に生涯を終えたとされています。しかし、義頼の母と妹に対する激しい憎しみは歴史的に残っており、彼らは幽閉された挙げ句、変死を遂げました。

近年では、梅王丸の名は公式には抹消されているものの、彼が発したと考えられる文書の存在が示唆され、重臣の支援の下で政務を行っていた可能性があります。また、里見義康が元服後に一時的に還俗し、梅王丸を補佐したため、義重という名が伝わることとなったという意見もあります。このように、里見義重はトラウマと裏切りに満ちた一生を送りながらも、歴史的な足跡を残しました。

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