野木宿

野木宿の歴史と名所

野木宿（のぎしゅく、のぎじゅく）は、江戸時代に日光街道（現在は日光道中とも呼ばれる）沿いに設けられた宿場の一つで、栃木県下都賀郡野木町に位置しています。この宿場は、江戸・日本橋から数えて10番目の宿場で、古河藩によって管理されていた古河三宿のひとつで、本野木と新野木の2つの集落から成っています。

宿場の概要

1843年に作成された『日光道中宿村大概帳』によると、野木宿には本陣と脇本陣がそれぞれ1つずつ存在し、旅籠は25軒ありました。宿の総家数は126軒、人口は527人でした。宿場の規模は比較的小さく、隣接する古河宿や間々田宿、小山宿などに宿泊客が流れやすい性質がありました。

名所・旧跡

野木神社

野木神社は、仁徳天皇の時代に創建され、莵道稚郎子命を祀っているとされています。この神社には、坂上田村麻呂が奉納した大銀杏の木があり、その形が母乳に似ているため、出産を願う母親たちに信仰されました。また、寿永2年（1183年）には「野木宮合戦」の舞台にもなりました。江戸時代には古河藩主によっても崇敬を受けていました。現在、年末には古河市と野木町で「提灯竿揉み祭り」が行われ、神が宿に帰る際に住民が提灯を持って寒さをしのぎつつ行列を迎える伝統行事が続いています。

満願寺

満願寺は野木神社の別当寺として、風習に従い1616年に建立されました。宿場内には寺院が無かったため、地域住民の供養の場として重要な役割を担っていました。

法音寺

法音寺は1395年に真海によって設立され、新義真言宗の寺院です。周囲には中世の城館の遺構として土塁や堀跡が残っており、歴史的な価値もあります。

満福寺

満福寺は古河公方に由来的な寺院で、1493年に足利成氏により設立されました。成氏の墓と、連歌師・猪苗代兼載の墓があります。満福寺は野木宿から南西に約2kmほどの距離に位置しています。

助郷の村々

当時、宿場町では公用の人や物を運ぶために人馬を必要とし、そのために周辺の村々が助郷に指定されました。野木宿では、現野木町内の友沼、閏島、若林、丸林、佐川野、赤塚、中谷新田、及び野渡、さらに小山市や栃木市の一部村々も助郷として活用されました。

交通と隣接宿場

野木宿は日光街道と奥州街道の交差点近くに位置し、隣接する宿場としては古河宿と間々田宿があります。江戸時代の交通の要所として、数多くの旅人が訪れた宿場町です。

参考文献

• - 古河市史編さん委員会 編 『古河市史 通史編』古河市、1988年
• - 古河市史編さん委員会 編 『古河市史 民俗編』古河市、1983年
• - 野木町史編さん委員会 編 『野木町史 歴史編』野木町、1989年

このように、野木宿は近隣の歴史や文化、伝統行事などが息づく地域であり、現在もその魅力を多くの人々に伝えています。

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