金城興福

金城興福（かねしろ こうふく）は、1953年2月27日に宮崎県児湯郡高鍋町で生まれ、2002年12月29日に49歳で亡くなった元大相撲力士です。春日野部屋に所属し、最高位は西関脇でした。本名も金城興福であり、1979年3月場所から1985年1月場所までは、大関・栃光正之に因んだ「栃光興福（とちひかり こうふく）」の四股名を用いていたため、「栃光」として広く知られています。

現役時代の体格は身長185cm、体重144kgで、右四つ、寄り、下手投げを得意としていました。宮崎日本大学高校時代には柔道やレスリングで活躍し、その才能を見出されて春日野部屋に入門しました。1969年9月場所で初土俵を踏み、序ノ口から本名の「金城」を四股名として相撲を取り始めました。

出世後は順調に番付を上げ、1973年3月場所で新十両、1974年9月場所で21歳という若さで新入幕を果たしました。北の湖、若三杉、麒麟児、大錦ら昭和28年生まれの力士たちと共に「花のニッパチ組」と呼ばれ、相撲界を盛り上げました。

柔軟な体質と重い腰を生かした右下手投げを武器に、将来の大関候補として期待されました。1979年1月場所後には、同じ九州出身で同部屋の力士として由緒ある「栃光」の四股名を襲名しました。しかし、半身相撲が災いし、成績は伸び悩みました。特に、横綱・北の湖との対戦では29戦全敗という記録が残っています。これは、初顔からの幕内における、同一力士に対する連続敗戦記録としては大相撲史上1位となっています。

また、2代若乃花には2勝29敗、三重ノ海には2勝17敗、輪島には2勝15敗と、上位陣に対して極端に成績が悪かったため、三役には定着できませんでした。1975年11月場所と翌1976年1月場所では輪島に連勝したものの、その後は横綱戦で63連敗を喫し、最終的に対横綱戦では2勝66敗という結果に終わりました。

得意な半身からの下手投げや蹴手繰り、蹴返しで下位力士には安定した成績を収め、怪我も少なかったため、新入幕から約10年間、幕内の地位を守り続けました。1984年7月場所で十両に陥落しましたが、1985年1月場所で再入幕を果たしました。しかし、同場所で2勝13敗と大敗し、翌3月場所で再び十両に落ち、「栃光」の四股名を返上し、「金城」に戻しました。

現役晩年は十両で2年以上相撲を取り続けましたが、上位での勝ち越しは叶わず、1987年5月場所で幕下陥落が濃厚となったため引退を表明し、角界を去りました。

引退後はサラリーマン生活を経て、愛知県春日井市で相撲料理店「栃光」を開店。その後、大阪府や宮城県仙台市にも支店を出すなど、経営者として活躍しました。テレビCMにも出演し、「ちゃんこちゃんこの栃光」「どすこい！元・関脇の栃光です！」といったフレーズで親しまれました。

2002年12月29日、心筋梗塞のため49歳という若さでこの世を去りました。

エピソードとして、本場所では北の湖に勝てなかったものの、1982年の日本大相撲トーナメントでは準決勝で北の湖を破り、決勝で2代若乃花を破って優勝しました。また、宮崎県出身力士としては初の関脇昇進者であり、本名と改名後の両方で小結を経験しています。奇しくも、幕内在位場所数は、先代の栃光と全く同じ60場所でした。

喫煙を好み、稽古嫌いな一面もあったようです。引退後、27年間宮崎県出身の関取が不在だった時期もありました。

主な戦績は、通算683勝724敗22休、幕内412勝488敗。現役在位106場所、幕内在位60場所、三役在位7場所（関脇1場所、小結6場所）。敢闘賞を3回受賞し、金星を2個獲得しています。

改名歴は、1969年11月場所から1979年1月場所、1985年3月場所から1987年5月場所までは「金城興福」。1979年3月場所から1983年3月場所、1983年9月場所から1985年1月場所までは「栃光興福」。1983年5月場所から1983年7月場所までは「栃光振光」です。

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