金杯 (福山競馬)

福山競馬場金杯：真夏のマイル王決定戦の歴史

1975年に創設された『金杯』は、広島県福山競馬場で開催されていた地方競馬の重賞競走です。ダート1600mを舞台に、多くの名馬と関係者がドラマを紡いできた、夏の風物詩ともいえるレースでした。

レース概要

『金杯』は、当初は6月下旬から7月中旬にかけて開催され、アングロアラブ系の中国所属馬限定の競走としてスタートしました。その後、1987年からはお盆期間への開催時期変更、1997年にはダート1800mへの距離変更（同年のみ）など、幾度かの変遷を経験しています。

2007年にはサラブレッド系の競走馬も出走可能となり、2009年からは中国・四国地区交流競走として開催されるようになりました。ただし、アングロアラブ系の出走は原則不可となりました。馬齢は3歳以上とされ、負担重量は定量で、3歳馬が55kg、4歳以上の馬が56kg、牝馬は2kg減となっています。賞金総額は、2012年当時で135万円でした。

ファン投票と出走馬選出

『金杯』の大きな特徴は、出走馬をファン投票で選出していた点です。投票対象馬は、施行日の2ヶ月前から1年前までの収得賞金上位40頭から選抜され、ファン投票の上位9頭が出走権を獲得しました。残る1頭は四国地区からの招待馬でした。投票方法は、福山競馬場で配布される投票カードとインターネット投票の2種類があり、1人1票の投票制でした。

2009年からの中国・四国地区交流競走化に伴い、四国所属馬も出走可能となりました。 歴代ファン投票1位馬の情報も残されており、レース人気を伺い知ることができます。ただし、2007年はアングロアラブとサラブレッドそれぞれのトライアルレースがあり、金杯そのものはファン投票対象外でした。

歴史に残る名馬と関係者

『金杯』の歴史には、数々の名馬とそれを支えた関係者の活躍が刻まれています。ローゼンホーマによる史上初の3連覇（1988年）、ムサシボウホマレの連覇（1992年）、ミナミセンプウの2度目の優勝（1998年）、ホマレエリートの連覇と2度目の優勝（2003年）、ラピッドリーランの連覇と2度目の優勝（2006年）など、多くのドラマが生まれた舞台でした。騎手や調教師もまた、幾度となく連覇を達成し、レースの歴史に名を刻んでいます。

特に、1988年のローゼンホーマの3連覇は、騎手である那俄性哲也、調教師である寺田忠も合わせて史上初の3連覇という偉業を達成しました。他にも、複数回の連覇を達成した騎手や調教師は数多く、彼らの卓越した技量と馬との絆が『金杯』を彩りました。2009年には、他地区の地方所属馬として初めて高知のセトノヒットが優勝を果たすなど、レースの交流も盛んに行われていました。

2011年には、高知の倉兼育康騎手と松木啓助調教師がそれぞれ連覇と3連覇を達成し、他地区からの参加がレースに新たな活力を与えたと言えるでしょう。

まとめ

『金杯』は、地域に根ざしたファン投票を導入し、数々の名馬と関係者の活躍によって彩られた、地方競馬を代表する重賞競走でした。その歴史と伝統は、競馬ファンにとってかけがえのない財産であり、長く記憶に残るレースとして語り継がれていくことでしょう。 現在では開催されていませんが、その栄光の歴史は、競馬史に鮮やかに刻まれています。 同時期にファン投票で出走馬を選出する『ファイナルグランプリ』なども、福山競馬場の魅力の一つでした。

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