釜ヶ渕堰堤

釜ヶ渕堰堤について

釜ヶ渕堰堤は、長野県松本市安曇、信濃川水系犀川の上流部にあたる梓川に建設された、高さ29メートルの積石アーチ式コンクリート砂防堰堤です。この堰堤は、その歴史的価値と景観保全への貢献が評価され、国の登録有形文化財にも指定されています。

建設の背景

1915年、焼岳の噴火によって大量の泥流が発生し、梓川が堰き止められて大正池が誕生しました。この時堆積した土砂が再び流出することを防ぎ、上高地の美しい景観と犀川流域の保全を図るため、大正池の河口直下に釜ヶ渕堰堤が建設されました。

建設と構造

堰堤の建設は1936年（昭和11年）に着工し、1943年（昭和18年）に本体工事が完了、翌1944年（昭和19年）には下流側の本副堰堤工事も竣工しました。堰堤の内部構造は、玉石を埋め込んだ粗石コンクリートで構成され、表面には現地の石を加工した築石が用いられています。この堰堤の建設に先立ち、1932年（昭和7年）には国の直轄砂防工事が開始され、梓川沿いの山腹工や、沢渡周辺の河川での小規模な砂防工事も行われました。

現在の状況

かつては、上高地へ向かう県道沿いからその姿を見ることができましたが、度重なる県道の崩落事故のため、2005年に新しい釜トンネルに付け替えられたことにより、人目に触れる機会はほとんどなくなりました。

文化財としての価値

2002年（平成14年）8月には、その歴史的、文化的価値が認められ、国の登録有形文化財に登録されました。

関連情報

• - ダム: 堰堤はダムの一種であり、水の流れを制御する役割を果たします。
• - 日本のダム: 日本各地には様々な目的で建設された多くのダムが存在します。
• - アーチ式コンクリートダム: 釜ヶ渕堰堤はアーチ式コンクリートダムの一種で、その形状が特徴的です。
• - 治山: 山地災害を防ぐための森林管理や工事を指します。
• - 砂防: 土砂災害から人々の生活を守るための事業です。
• - 上高地: 日本を代表する山岳景勝地で、多くの観光客が訪れます。
• - 釜トンネル: 上高地へのアクセスを担う重要なトンネルです。

外部リンク

• - [国土交通省]] - 河川局 - 砂防部 - 登録有形文化財に登録された歴史的砂防施設 - 釜ヶ渕堰堤

[https://www.mlit.go.jp/river/sabo/jirei/bunka/12kamagafuchi.html

• - [上高地]]公式Website - 釜ヶ渕堰堤

[https://www.kamikochi.or.jp/spot/010/

釜ヶ渕堰堤は、その建設背景や構造、そして歴史的価値において、日本の治山・砂防技術を語る上で重要な存在であると言えるでしょう。

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