鈴木健介 (映画監督)

鈴木健介について

鈴木健介（すずき けんすけ、1939年2月11日 - ）は、日本の映画監督であり、ドキュメンタリー作品を中心にプロデューサーとしても活躍しています。同姓同名の俳優とは別人です。

生い立ちと映画への道

1939年、東京都豊島区巣鴨に生まれた鈴木健介は、1963年に日本大学芸術学部映画学科演出コースを卒業しました。在学中は、映画監督の牛原虚彦に師事し、演出の基礎を学びました。卒業制作として、自ら脚本・監督を務めた50分の劇映画『明るすぎて暗い』を制作しています。卒業後はフリーランスとして、映画やテレビの制作に携わりました。

中川信夫との出会いと影響

1966年から3年間、映画監督の中川信夫の助監督を務めたことが、鈴木健介の映画人生に大きな影響を与えました。中川信夫は、鈴木健介にとって人生の師であり、1984年に中川が亡くなるまでの18年間、親交を深めました。ドキュメンタリー監督となった後も、中川の遺作である『怪異談 生きてゐる小平次』（1982年）で助監督を務めています。

ドキュメンタリー監督としての活躍

1970年、フジテレビのドキュメンタリー番組『只今奮闘中』で初監督を務めました。その後、『美の世界』、『ドキュメンタリー人間劇場』、『世界わが心の旅』など、数々のテレビドキュメンタリーを監督。1976年には、記録映画『新しい木の家』を監督し、毎日映画コンクール奨励賞を受賞しました。1994年には、歌人の俵万智とともにインドのカルカッタ（現コルカタ）を取材し、記録映画『ガンガー 俵万智イン・カルカッタ』を発表しました。

文化事業への貢献

1983年には、日本テレビの『火曜サスペンス劇場』で、世界初となる視覚障害者向けの副音声解説台本を作成し、吹き込みの演出を行いました。この取り組みは、番組名が『ドラマ・コンプレックス』に変わった後も継続されています。

日本映画監督協会の会員としても活動し、国際委員会委員、文化事業委員会委員を歴任。同協会の活動を通じて、アジアやアフリカの映画監督たちとの交流を深め、特にインド映画人との交流に積極的に取り組みました。また、調布映画祭の実行委員会委員も務めるなど、映画祭の運営にも貢献しています。

著作と中川信夫への敬意

中川信夫の生前の業績をまとめた書籍『映画監督 中川信夫』（1987年）では、年譜とフィルモグラフィーの作成を担当しました。また、自らも『地獄でヨーイ・ハイ! 中川信夫 怪談・恐怖映画の業華』（2000年）を編著しており、中川信夫への深い敬意がうかがえます。

主な作品

映画

『怪異談 生きてゐる小平次』（1982年） - 助監督
『ガンガー 俵万智イン・カルカッタ』（1994年）

ドキュメンタリー映画

『新しい木の家』（1976年）
『鼓動』（1994年）

テレビドキュメンタリー

『只今奮闘中』（1970年）
『美の世界』（1977年 - 1992年）
『甦る古備前～森陶岳の執念～』（1981年）
『朝の詩』（1985年 - 2004年）- 構成、演出
『西洋の美術～古代ギリシャからピカソまで～』（1986年）
『新世界紀行 遥かなるユーゴスラビア』（1987年）
『能、狂言アメリカを行く』（1988年）
『画家 国吉康雄～憂愁のニューヨーク～』（1989年）
『幻の美女伝説～楊貴妃は日本に来ていた!?』（1990年）
『美に生きる』（1991年）
『C.W.ニコルの森物語』（1992年）
『ドキュメンタリー人間劇場』
『トラック人生夫婦道～愛の500キロ～』（1995年）
『大震災2年～生きていてよかった～』（1997年）
『旅芸人で死にたい～落語にとりつかれた柴垣家の人々』（1998年）
『わが日本の風景～うるわしき山への祈り～』（1997年）
『わが日本の風景～夕暮れの水辺に想う～』（1997年）
『ボローニャ・絵本にたくす想い』（1997年）

オリジナルビデオ

いわさきちひろと俵万智の『あなたのところへ』（1991年）
『福田繁雄のからくりビデオ』（1992年）
『夭折の画家 三橋節子～その愛と死の伝説～』（1994年）
『ちひろビデオ館』（1995年）
『戦後で見るわたしたちの 日本国憲法』（1996年 - 1997年）- プロデューサー

書籍

『映画監督 中川信夫』(1987年) - 『中川信夫・フィルモグラフィーおよび年譜』作成
『地獄でヨーイ・ハイ! 中川信夫 怪奇・恐怖映画の業華』（2000年）- 編著

その他の活動

映画上映企画や追悼上映など、映画文化の普及にも貢献しています。

参考文献

滝沢一・山根貞男編『映画監督 中川信夫』、リブロポート、1987年
鈴木健介編『地獄でヨーイ・ハイ! 中川信夫怪談・恐怖映画の業華』、ワイズ出版、2000年

外部リンク

鈴木健介『ガンガー 俵万智イン・カルカッタ』ホームページ
鈴木健介プロフィール
* 鈴木健介 - 日本映画データベース


鈴木健介は、ドキュメンタリー映画を中心に、テレビ番組、ビデオ制作など、幅広い分野で才能を発揮し、日本の映像文化に貢献し続けている映画監督です。

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