錦洋幸治

錦洋幸治（にしきなだ こうじ）

プロフィール

錦洋幸治（本名：川崎悟）は、1950年1月3日に鹿児島県鹿屋市で生まれ、2009年7月16日に59歳で亡くなった元大相撲力士です。最高位は東前頭筆頭。現役時代の体格は178cm、150kgで、押しと右四つを得意としていました。

相撲人生

中学卒業後、井筒部屋に入門し、1965年3月場所に初土俵を踏みました。同期には大受や吉王山らがいます。当初の四股名は本名と同じ「川崎」でした。押し相撲を武器に順調に番付を上げ、1968年11月場所には18歳で十両に昇進。1969年7月場所には19歳で幕内昇進を果たし、同時に四股名を「錦洋」に改めました。

同時期に活躍した大受や貴ノ花と共に、将来の角界を担う逸材として期待されました。1970年3月場所には東前頭4枚目で9勝6敗と勝ち越し、生涯唯一となる技能賞を受賞。翌5月場所には西前頭筆頭で、大鵬から金星を挙げる快挙を成し遂げました。

しかし、左足が流れるという欠点が指摘され、その矯正に努めたことが、結果的に出足を鈍らせる要因となりました。さらに糖尿病を発症したことで体調を崩し、三役昇進を阻まれてしまいます。1972年3月には師匠の死後の跡目争いに巻き込まれ、君ヶ濱部屋に移籍。同年9月場所限りで「錦洋」の四股名を返上し、本名の「川崎」に戻しました。その後、1974年7月に「大峩悟（たいが さとる）」と改名しました。

「川崎」名義の時期は十両に低迷していましたが、「大峩」に改名後、1975年3月場所で再入幕を果たすと、初日から6連勝するなど9勝を挙げました。続く場所も勝ち越し、幕内上位に返り咲いた7月場所では、北の湖から5年ぶりの金星を獲得しました。しかし、膝の故障や肝臓の病気に苦しみ、再び番付を下げ、1977年5月場所には幕下50枚目で引退しました。

引退後

引退後は、夫人の故郷である鳥取県米子市でちゃんこ料理店「大峩」を経営していましたが、糖尿病の悪化により失明。その後、故郷の鹿屋市に戻り、再出発しました。

帰郷後、糖尿病の合併症から肝臓病も併発し、人工透析を余儀なくされましたが、鹿児島県立盲学校に進学。相撲部を創設し指導にあたるなど、地域社会に貢献しました。盲学校では鍼灸師の資格を取得しましたが、視力を完全に失ったため、1993年11月に退学。

その後、理学療法士として病院に勤務。2001年には糖尿病性壊死により右膝下を切断しましたが、障害を抱えながらも勤務を続け、全国各地で講演活動を行い、多くの人々に勇気を与えました。

2009年7月16日、脳出血のため59歳でその生涯を閉じました。

主な成績

通算成績：446勝446敗19休　勝率.500
幕内成績：183勝217敗5休　勝率.458
現役在位：73場所
幕内在位：27場所
三賞：1回
技能賞：1回（1970年3月場所）
金星：2個（大鵬1個、北の湖1個）

各段優勝

十両優勝：2回（1969年5月場所・1974年3月場所）
幕下優勝：1回（1968年9月場所）

レコード

「両国気質」（c/w：流れ花ブルース）（大峩悟/三船浪/鶴ノ海/君ヶ嶺/鶴ヶ浜 名義）

関連事項

大相撲力士一覧

脚注

元幕内錦洋の川崎さん死去／鹿屋市

もう一度検索