長島町 (三重県)

長島町は、かつて三重県の北勢地域に位置していた町で、木曽川、長良川、揖斐川という三大河川の河口部に広がる濃尾平野の南西端にありました。この地域は、複数の輪中によって構成された平坦な低湿地帯であり、独特の地形が特徴でした。地名の由来は、七つの洲からなる「七島」や、南北に長い土地であることから名付けられたという説があります。

地理と自然

長島町の地形は、木曽三川の分流工事によって大きく変化しました。明治時代に行われた工事により、輪中を区切っていた小河川の多くが廃川となり、一部の土地は長良川の新河道となりました。これにより、現在の長島町の地形が形成されました。また、1995年には全国水の郷百選に選定されるなど、水と深く関わる地域でした。

町内には、木曽川、長良川、揖斐川のほか、国営[[木曽三川公園]]や水郷県立自然公園があり、豊かな自然に恵まれていました。

歴史

長島町の歴史は古く、寛元3年（1245年）には藤原道家がこの地に流されたという記録が残っています。戦国時代には、一向宗が東海地方における重要な拠点としましたが、織田信長によって滅ぼされました（長島一向一揆）。江戸時代には長島藩が置かれ、明治維新後には一時的に「長島県」が設置されましたが、その後「安濃津県」を経て三重県となっています。

昭和34年（1959年）には、伊勢湾台風によって町を囲む堤防が15箇所で決壊し、町域のほとんどが水没するという甚大な被害を受けました。この災害では、380名以上の犠牲者を出しました。

沿革

- 1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、小島村、篠橋新田など複数の村が合併し、長島村が発足。
- 1954年（昭和29年）10月23日：長島村が町制を施行し、長島町となる。
- 1955年（昭和30年）4月1日：楠村と合併し、新たに長島町が発足。
- 1956年（昭和31年）9月30日：伊曽島村を編入。
- 2004年（平成16年）12月6日：桑名市、多度町と合併し、新桑名市が発足。同日、長島町は廃止。

文化

長島町は、地理的に木曽三川に挟まれていたため、人の往来が難しく、東西の文化が交わる境界に位置しています。例えば、揖斐川以西の三重県では京阪式アクセント（関西弁）が使われるのに対し、長島町の方言は尾張弁（名古屋弁）に近いアクセントが特徴です。また、食文化においても、カレーライスに使用する肉の種類が、関西の牛肉と関東の豚肉が拮抗しており、「ケンミンボーダーラインカレーのお肉牛＆豚」の町として知られています。

行政

廃止時の町長は平野久克氏でした。北海道の苫前町と友好姉妹都市提携を結んでいました。

教育

町内には、長島中学校、長島中部小学校、長島北部小学校、伊曽島小学校がありました。

交通

- 鉄道：JR東海関西本線の長島駅、近畿日本鉄道名古屋線の近鉄長島駅が利用できました。
- 道路：東名阪自動車道の長島IC、伊勢湾岸自動車道の湾岸長島IC・湾岸長島PAの他、国道1号、国道23号、主要地方道、一般県道が町内を通っていました。

名所・旧跡・観光スポット

- 名所・旧跡：大智院、蕉翁信宿処石碑、願證寺、旧長島城大手門、蓮生寺、天然記念物「大松」、長島水辺のやすらぎパークなどがあります。
- 観光スポット：長島温泉、ナガシマスパーランド、ジャズドリーム長島、なばなの里、長島スポーツランド、長良川河口堰、国営[[木曽三川公園]]カルチャービレッジなど、多くの観光施設がありました。
- 祭事・催事：三町石取祭（7月）が有名です。

出身者

伊藤幸太郎氏（治水功労者、元長島町長、元衆議院議員）、長江裕明氏（冒険家）などがいます。

事件

2023年11月、町内の温泉施設でLGBTに関する事件が報道されました。

長島町は、その独特な地理的条件と歴史的背景から、多様な文化が育まれた地域でした。合併によりその名は消えましたが、歴史と文化は今も桑名市に受け継がれています。

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