長者山

長者山（ちょうじゃさん）

長者山は、青森県八戸市糠塚地区の北に位置する標高40mの独立した小丘です。八戸市の中心市街地から南側に位置し、頂上には長者山新羅神社が鎮座しています。ふもとには大慈寺や南宗寺などの社寺があり、静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

概要

藩政時代には、八戸城下町の南側を防衛する砦としての役割も担っていたとされています。長者山は豊かな松林に覆われており、社寺と自然が調和した独特の景観を作り出しています。かつて賑わいを見せていた片町朝市の会場は、現在では長根公園へと引き継がれています。

八戸三社大祭は、神明宮の天照大神、龗神社の高龗神、そして長者山新羅神社の新羅三郎義光を祀る祭りで、八戸地方を代表するお祭りの一つです。神明宮の天照大神、龗神社の月読、長者山新羅神社の素戔嗚尊という三貴子が歴史的に揃った祭神として扱われてきたわけではありません。龗神社の月読が祀られた経緯は定かではありませんが、三社大祭は各神社の歴史と信仰が織りなす、奥深い文化的背景を持っています。

歴史

享保6年（1721年）に始まった八戸三社大祭の際には、長者山の境内に出店や芝居小屋が立ち並び、大変な賑わいを見せていました。例祭時以外にも、相撲や芝居などの興行が開催され、近隣住民の憩いの場として親しまれていました。

寛保3年（1743年）に記された「奥州南部糠部順礼次第全」という文献には、長者山の頂上にある長者山新羅神社の「三社堂」のほかに、長者観現、牛頭天王を祀る堂宇が存在したという記録が残されています。これらの記録は、当時の長者山が多様な信仰の中心地であったことを示唆しています。

安永時代（1772年〜1781年）には、長者山で鉄砲の射撃訓練が何度も行われていたという記録も残っています。これは、長者山が軍事的な側面も持っていたことを示唆するものです。

関連項目

長者山新羅神社
長根公園

脚注

注釈

出典

参考文献

下中弥三郎『神道大辞典 第二巻 コ-テ』臨川書店、1937年7月。
平凡社『日本歴史地名大系 第2巻 青森県の地名』平凡社、1982年7月。ISBN 978-4-582-49002-2。

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