長谷寺 (長野市)

信濃長谷寺（しなの はせでら）

長野県長野市篠ノ井塩崎に位置する信濃長谷寺は、金峯山を山号とする真言宗智山派の寺院です。通称「信濃長谷寺」として知られ、大和（奈良県桜井市）、鎌倉（神奈川県鎌倉市）の長谷寺とともに、日本三長谷の一つに数えられています。

歴史

信濃長谷寺の創建は、寺伝によると飛鳥時代に遡ります。舒明天皇の時代（629年-641年）、允恭天皇の六代目の子孫である白助（白介）が、信濃善光寺の阿弥陀如来のお告げを受け、大和初瀬山から十一面観音菩薩を勧請したのが始まりとされています。ただし、正確な創建年は不明で、寺院の公式ウェブサイトでも飛鳥時代としか記述されていません。

大和の長谷寺は、朱鳥元年（686年）に川原寺の道明が元長谷寺を創建したのが始まりとされ、その後、神亀4年（727年）に徳道が十一面観音像を造立し、現在の長谷寺を開山したと伝えられています。大和の長谷寺は奈良時代から存在したことは確かですが、上記の草創説話はあくまで伝承であり、信濃長谷寺の起源についても史実をどこまで反映しているかは定かではありません。

寺の裏山からは、仁平元年（1151年）銘の金銅経筒が発掘されており、この年に大師の某氏が『妙法蓮華経』と『無量寿経』を長谷山に埋経したことがわかっています。

中世以降

1181年（養和元年）には、『延喜式』によって鎮守の長谷神社が式内社となりました。この頃、覚明（元は源義仲の軍師で法然の門下、親鸞に同行）が長谷寺付近に康楽寺を建立しました。

1200年（正治2年）頃には「長谷寺霊験記」が成立し、1290年（正応3年）には久明親王の霊夢により、執権北条貞時が僧真海に命じて長谷寺を再興させました。1346年（南朝：正平元年、北朝：貞和2年）の『天竜寺文書』には、長谷寺の免田が記載されています。

この頃には、『三国伝記』が編纂され、白助伝説が収録されました（巻第五 第三十「信州更級郡白介翁事」）。1400年（応永7年）には大塔合戦により長谷寺周辺で戦乱が起きました。

近世以降

江戸時代初頭には、江戸幕府から寺領15石が寄進されました。1701年（元禄14年）には子安堂が建立され、1713年（正徳3年）には観音堂が再建されました。1776年（安永5年）には仁王門、1802年（享和2年）には鐘楼門、1805年（文化2年）には十王堂が建立されましたが、同年の善光寺地震により石垣が崩壊しました。1847年（弘化4年）の善光寺大地震では伽藍が損壊しました。

1863年（文久3年）には庫裏、1866年（慶応2年）には開基殿が建立されました。昭和期には伽藍が修復され、経筒が出土しました。平成期には観音堂、本堂、庫裏が改修され、納経所が建立されました。

伽藍

信濃長谷寺の境内には、以下のような堂宇や施設があります。

方丈殿（本堂）
観音堂
十王堂
位牌堂
不動堂
子安地蔵堂
仁王門
鐘楼門
開基殿
三十三観音石仏
長谷神社上社
白助翁墓
納経所
庫裏

文化財

信濃長谷寺には、長野県指定文化財である「木造地蔵菩薩立像」（2017年3月16日指定）があります。

行事

信濃長谷寺では、年間を通じて様々な行事が執り行われています。

1月1日～1月5日 - 元朝・初詣大護摩供厳修
1月7日 - 七草御印文お授け
1月18日 - 初観音厄除祈願会
3月15日 - 涅槃会・お絵解き
3月21日 - 春彼岸会・正御影供
4月18日 - 春季大祭・大般若転読会
8月9日 - 雨乞祭三十三灯籠（さんじょさん）
8月10日 - 大施餓鬼会
9月23日 - 秋彼岸会
12月12日 - 報恩講
12月18日 - 納めの観音
12月31日 - 除夜法要・二年参り
毎月18日 - 十一面観音縁日
毎月第2日曜 - 写経の集い

その他の行事

信濃巡拝の会では、西国、坂東、秩父、信濃などの観音霊場や四国八十八箇所の巡拝を定期的に実施しています。また、「お絵解き」では、釈迦涅槃図を解説しており、3月15日以外にも宗派を超えて寺院本坊や出張で実施されています。

所在地

長野県長野市篠ノ井塩崎878（寺院発行の冊子によれば、長野県長野市篠ノ井塩崎長谷白助）

交通アクセス

JR篠ノ井線稲荷山駅から徒歩10分

脚注

参考文献

『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
『探訪 信州の古寺 天台宗・真言宗』1996年 郷土出版社

外部リンク

* 金峯山 長谷寺 ホームページ

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