長谷川宣雄

長谷川宣雄：江戸時代の旗本

長谷川宣雄（はせがわ のぶお）は、江戸時代中期の有名な旗本であり、火付盗賊改方頭の職務を担当したことで知られています。彼はその息子、長谷川宣以の父でもあり、両者は通称「平蔵」を名乗っていたため、しばしば混同されることがあります。特に池波正太郎が描いた小説『鬼平犯科帳』の主人公である長谷川平蔵は宣雄ではなく、その息子の宣以を指しています。このように、親子二代の「平蔵」は多くの人々に親しまれています。

宣雄は、江戸時代の事情を反映した複雑な家族構成と職業的背景を持ち、従兄の長谷川宣尹の後を継いで旗本の地位に昇進しました。具体的には、延享5年（1748年）1月10日に宣尹が死去した後、彼は同年4月3日にその遺跡を引き継ぎました。改元後の寛延元年（1748年）の閏10月9日には西城御書院番に任命され、その後、宝暦8年（1758年）9月15日には小十人頭に昇進しました。さらに、同年12月18日には布衣の着用が許可され、地位の確立がなされていきました。

明和2年（1765年）4月11日には御先手弓頭、そして明和8年（1771年）10月17日には火付盗賊改加役に就任しました。この任命は、彼の職業人生における重要な転換点となりました。特に、明和9年（1772年）2月29日に発生した明和の大火に際して、宣雄は犯人の真秀を捕らえ、その結果、火刑に処したことでその名声を高めます。この行動が評価され、安永元年（1772年）10月15日には京都西町奉行に転任し、同年11月15日には従五位下・備中守に叙任されることとなりました。

しかし、その栄光も束の間、安永2年（1773年）6月22日、奉行在任中に京都で亡くなりました。享年は55歳で、その死は彼の長い職業人生における一つの区切りとなりました。長谷川宣雄は、江戸時代の治安維持に大きく寄与した旗本として、歴史に名を刻む存在です。

参考文献

• - 釣洋一『江戸刑事人名事典』（新人物往来社、2006年）

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