閄

漢字「閄」（コク、ワク）の解説

概要

「閄」は、時に驚かせる声を表す意象的な漢字であり、門部と二画から成り、総画数は10画です。この漢字は、特に日本語においてその読みとして「コク」や「ワク」といった音読みが使用されるが、訓読みは存在しません。また、環境依存文字となっているため、使用される場面が限られることがあります。

字義・解字

「閄」は、会意文字と呼ばれる漢字で、これは主に「門」と「人」を組み合わせています。そのため、字に込められた意味は、人が隠れていた場所から急に姿を現して他の人を驚かせる、という様子を表しています。具体的には、何かの陰に隠れていた人が突如として姿を現し、それによって発せられる声を指します。この声は、驚嘆や驚きを示すものであり、たとえば「ワッ」と飛び出してくる声のことです。『字彙補』には「閄、隠身忽出驚人之聲也」と記載されており、これによりその意味がさらに明確にされます。加えて、同じような構造を持つ漢字として、「閃（ひらめ・く/セン）」や「們（モン/ともがら）」などがあります。

読み方

音の読み方としては漢音で「コク」、呉音で「ワク」が一般的ですが、一部の辞典では「カク」や「セン」という読みも見られます。このように、音読みが複数存在するのも「閄」の特徴といえるでしょう。中国語においては、突然現れることを意味する擬声語として「huò」、または身を隠してから出現するという意味で「shǎn」という読みも使用されています。

創作物における使用例

「閄」という漢字は、創作物でも見られることがあります。例えば、『会談興晤閄雅話』（かいだんおとしばなしももんがわ）は、振鷺亭主人によって作られた寛政期の咄本で、この作品内では「ももん」と読まれています。また、卑屈Pの楽曲『なんだかとっても！ いいかんじ』の中でも「閄」という漢字が用いられており、特にサビの部分では「ものかげからきゅうにとびだしてひとをおどろかせるときにはっするこえ」という読み方で表現されています。

字体情報

この漢字はUnicodeにおいてU+9584の位置に登録されており、Unicodeの数値文字参照としては、10進数では閄、16進数では閄となります。また、JIS漢字コードではJIS X 0212の70区2点に収録されています。しかし、JIS X 0208やJIS X 0213には含まれていません。

参考文献

この漢字についての詳細な情報は、以下の文献で確認することができます。

• - 諸橋轍次、鎌田正、米山寅太郎『大漢和辞典』（修訂第二版）
• - 鎌田正・米山寅太郎『大漢語林』
• - 鎌田正・米山寅太郎『新漢語林』（第二版）
• - 藤堂明保、松本昭、竹田晃、加納喜光『漢字源』（改訂第六版）
• - 『新潮日本語漢字辞典』
• - 『漢語大字典』（第二版）

このように漢字「閄」は、ただの記号ではなく、その背後には深い意味や歴史が隠れています。

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