開港広場公園

開港広場公園は、神奈川県横浜市中区山下町に位置する都市公園で、別名「開港記念広場」とも呼ばれています。この場所は、1854年（安政元年）に日米和親条約が締結された歴史的な場所であり、その証として石碑が残されています。

歴史的背景

1854年3月3日、マシュー・ペリー提督は、現在の横浜開港資料館講堂付近で、日本側全権委員との間で日米和親条約を締結しました。この条約締結に先立ち、同年2月には、幕府に献上するための汽車模型の試運転や電信の送信実験が行われ、日本が西洋の技術や文化に触れるきっかけとなりました。横浜が交渉の地となった背景には、幕府側が「鎌倉か浦賀」を主張したのに対し、ペリー側が「江戸での交渉」を主張し、艦隊を江戸湾奥まで進めた結果、幕府が譲歩したという経緯があります。また、江戸周辺は水深が浅く、艦隊を停泊させるには不向きであった一方、横浜は水深が十分で、波浪も防ぐことができたため、交渉地として選ばれました。幕府側にとっても、江戸や東海道の宿場町である神奈川を避けることができたことで、体面を保つことができました。

昭和中期になると、モータリゼーションの影響でこの付近は道路となり、和親条約の碑はロータリー交差点の中に埋もれてしまいました。しかし、隣接する旧イギリス領事館が横浜開港資料館となったことを契機に、この場所を「開港の地」にふさわしい場所に整備する計画が立てられました。ロータリー交差点を信号制御に変え、車道を整理して歩行者の動線を広げ、広場の中央には噴水が設置されました。工事中に発見された下水道の遺構は、上部から見学できるよう透明のガラス板が設けられています。1982年に開港広場公園が開園し、1985年には横浜市主催の第1回まちなみ景観賞を受賞しました。

公園内の施設

公園内には、「日米和親条約締結の地」の碑や噴水のほか、1882年頃に築造された煉瓦造りのマンホールと下水道の遺構が展示されています。これらの遺構は、1982年の公園整備中に発見されたもので、国登録有形文化財に指定されています。また、園内には、外国人居留地にあったスイスの商社が扱っていた大砲が展示・保存されており、1959年に同社社屋の基礎工事中に発見され、2003年に市に寄贈されました。さらに、公園内の時計塔は、1891年に大さん橋に立てられたポールを模したものです。

周辺環境

開港広場公園は、大さん橋の付け根に位置し、横浜港の中心部にあります。公園正面の開港広場前交差点は、大さん橋、海岸通り、山下公園通り、大桟橋通りが交わる交通の要所であり、国道133号の起点でもあります。東側は大桟橋通りを挟んでシルクセンター、北側は海岸通りを挟んで横浜貿易会館に隣接し、その背後には象の鼻パークが広がっています。南西側は横浜海岸教会に接しています。

開港広場公園は、横浜の歴史を物語る重要な場所であり、周辺の観光スポットと合わせて訪れることで、より深く横浜の魅力を感じることができます。

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