関東御分国

関東御分国（かんとうごぶんこく）

関東御分国とは、鎌倉時代から室町時代にかけて日本の将軍家が支配していた地域を指します。この言葉は、特に鎌倉幕府、即ち鎌倉殿が統治した国々を指すもので、これらの地域が「知行国」として認識されていました。意外に思われるかもしれませんが、関東という表現は単に東国（東日本）を指すものではなく、この時代の鎌倉幕府の所有地を意味しています。

鎌倉時代における関東御分国

鎌倉時代において、関東御分国は将軍家が直接的に支配していた土地であり、将軍家の一族や御家人が一定の役割を果たすために朝廷に推挙され、国司として任命されることが一般的でした。この仕組みは、国の公領である国衙領を統治し、その収益を獲得することを目的としていました。

文治元年（1185年）の時点では、関東御分国は9つの国から成り立っていましたが、時を経るにつれて内容は変化し、実朝の時代には4つの国にまで減少しました。幕府が最初に設立された頃は、東国の支配を確立するために重要な制度として機能していましたが、幕府体制が安定するに従い、その役割は緩やかに低下していったと考えられています。

幕府が滅亡するまでの間に関東御分国に含まれていたのは、駿河、相模、武蔵、越後の4つの国でした。このうち、相模国と武蔵国の国司には特に執権や連署が任命されており、その重要性を示しています。

関東御分国一覧と三河国について

なかでも三河国は特異な存在です。元暦元年（1184年）5月21日、源頼朝は三河国の国司として源範頼、源広綱、平賀義信を推挙しました。これが関東御分国の始まりとされています。しかし、文治2年（1186年）になると、三河国が記されていないことから、範頼が辞任したと解釈され、三河は御分国から外れたと言われています。

ところが、その後に発見された史料の中には、範頼が三河守として在任していた証拠が示されています。また、建久4年（1193年）に彼が頼朝に出した起請文にも「参河守源範頼」と明記されています。このため、彼が失脚する直前まで三河守の地位を保持していた可能性が高いと考えられます。

一方、文治3年（1187年）には、頼朝が範頼に対して三河に割り当てられた課役を果たしていないことを叱責した記録も残っています。このことから、知行国の国主である範頼に対して義務が果たされなかったというのは矛盾しているため、三河は関東御分国とは見なされていないという解釈が補強されます。

参照文献

最終的に、関東御分国に関連する文献がいくつかあります。金澤正大の「蒲殿源範頼三河守補任と関東御分国」や瀬野精一郎編の『日本荘園史大辞典』などが参考にされるでしょう。これらを通じて、関東御分国についての理解が深まることを願います。

もう一度検索