関野克

関野 克 (せきの まさる)

関野克は1909年2月14日に東京で生まれ、2001年1月25日に逝去した日本の著名な建築史学者であり、東京大学名誉教授としてその名を馳せた。彼は文化功労者としても知られ、日本の建築文化の保存と発展に寄与した。

経歴

関野は1929年に旧制浦和高等学校理科甲類を卒業し、1933年に東京帝国大学工学部建築学科を卒業。その後、1945年に東京大学で工学博士号を取得した。1946年には母校である東京大学の教授に就任し、以降、建築史の分野で多くの業績を上げた。

1965年からは東京国立文化財研究所の所長を務め、1979年から1991年には博物館明治村の館長として重要な役割を果たした。1990年にはその功績が認められ文化功労者の称号を受け、彼の墓所は多磨霊園にある。

著書

関野克は多くの著作を残しており、その中には『日本住宅小史』（1942年、相模書房）、『建築のいろいろ』（1951年、筑摩書房）、『寺と社』（1956年、大日本雄弁会講談社）が含まれる。また、『文化財と建築史』（1969年、鹿島研究所出版会）や、『明治のたたずまい』（1980年、博物館明治村 講談社）、『日本の民家』（1980年、学習研究社）なども併せて挙げられる。

さらに、彼は『文化財講座日本の建築』全5巻を伊藤延男や太田博太郎と共編纂し、1976年から1977年にかけて出版した。これらの著作は日本の建築文化の理解を深めるための貴重な資料となっている。

文化財の保存と修復

関野克は国宝や重要文化財の調査において、ガンマ線を用いるという革新的な方法を確立し、文化財の保存科学に革命をもたらした。法隆寺や鎌倉の大仏、姫路城、金閣寺などの修復に携わり、髙松塚古墳壁画の保存指導にも尽力した。

また、中尊寺金色堂の保存施設調査委員長を務めるなど、歴史的建造物の保全に深く関与した。さらに、考古学のブームが興った登呂遺跡では、住居跡の復元を指導し、多くの人々にその価値を伝えた。

家族背景

関野犬解の父は建築史や美術史、考古学に精通した関野貞であり、弟は考古学者として活動する関野雄である。関野一家は日本の建築文化や考古学の発展において重要な役割を果たしてきた。

戦争時の関与

太平洋戦争末期には、松代大本営の賢所の工事に関与するなど、戦時中の重要なプロジェクトにも関わった。彼の仕事はその後の日本の文化財の保全に大きな影響を与えることとなった。

関野克は建築史の研究や文化財の保存において、国際的にも評価される多大な業績を残した。

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