阿倍嶋麻呂

阿倍嶋麻呂の生涯と功績

阿倍嶋麻呂（あべ の しままろ）は、奈良時代において重要な役割を果たした公卿です。彼は中納言・阿倍広庭の子として生まれ、官位は正四位下、参議を歴任しました。

経歴の概要

嶋麻呂は天平12年（740年）に従五位下に叙爵され、その後、天平19年（747年）には従五位上に昇格します。天平感宝元年（749年）には侍従に任命され、重要な職務を担うことになります。この時期、特に天平20年（748年）には元正上皇の崩御の際に養役夫司を務めるという大役も果たしました。また、孝謙朝に入ると、彼は右中弁兼侍従として勤務し、天平勝宝4年（752年）には伊予守に任命されています。

天平勝宝3年（751年）には左京五条三坊に居住していた彼ですが、天平勝宝9年（757年）には藤原仲麻呂の政権下で正五位下に昇進しました。同じく天平宝字3年（759年）には従四位下、左大弁に任命され、さらには同年の天平宝字4年（760年）に公卿としての地位である参議に就任します。その後、天平宝字5年（761年）の正月には従四位上という高位に上昇しますが、同年の3月に生涯を閉じました。彼の最終官位は参議正四位下でした。

財政状況と土地取引

興味深いのは、阿倍嶋麻呂が天平勝宝3年に左京五条三坊に居住していた際に、近江国甲可郡蔵部郷の墾田21町および野地3町を売却した記録です。この取引は、銭230貫で弘福寺の大修多羅衆に売却されました。これにより彼の財政状況や当時の土地取引の実態が一部明らかとなっています。

官歴

阿倍嶋麻呂の官歴は以下の通りです。注記のないものは『続日本紀』に基づいています。

• - 時期不詳：正六位上
• - 天平12年（740年） 正月13日：従五位下
• - 天平19年（747年） 正月20日：従五位上
• - 天平20年（748年） 4月22日：養役夫司（元正天皇崩御）
• - 天平感宝元年（749年） 閏5月1日：侍従
• - 天平勝宝2年（750年） 2月26日：見右中弁兼侍従勲十二等
• - 天平勝宝4年（752年） 5月26日：伊予守、大仏開眼師迎引
• - 天平勝宝9年（757年） 5月20日：正五位下、6月16日：伊予守
• - 天平宝字3年（759年） 6月16日：従四位下、7月3日：左大弁
• - 天平宝字4年（760年） 6月7日：装束司（光明皇后崩御）、8月7日：参議
• - 天平宝字5年（761年） 正月2日：従四位上、3月：正四位下、3月10日：卒去（参議正四位下）

家族

阿倍嶋麻呂の家族については、父が阿倍広庭であることが確認されていますが、母についての情報は残されていません。また、子供に関する情報として、男子が一人おり、名は阿倍粳蟲（あべ の くわむし）とされています。

結論

阿倍嶋麻呂は、奈良時代において迅速に昇進し、重要な職務を果たした公卿の一人でした。彼の政治的活動と土地取引からは、当時の社会的背景や経済状況が伺えます。その生涯を通じて、彼は公務や重要な役割を通じて奈良時代に影響を与えた存在でした。

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