阿倍御主人

阿倍御主人（あべ の みうし）

阿倍御主人は、飛鳥時代に名を馳せた公卿であり、政治的な影響力を持っていました。彼の血筋は阿倍氏に属し、布勢・普勢の姓を持ち、多くの支族を擁する有力な氏族の一員として知られています。

出自について

阿倍氏は、古代日本において重要な氏族であり、多くの支族を持つ点が特徴です。御主人はその中でも特に布勢氏（または普勢氏）に属しており、氏族名の改姓に見られるように、家系の歴史が深いことを示しています。彼は朝臣という地位を持ち、権力闘争の中で多くの貢献をしました。

経歴の概要

天武朝での活動

天武天皇元年（672年）に起きた壬申の乱では、大海人皇子（のちの天武天皇）に銘じられ、戦いでの功績から持統天皇の時代には100戸の封戸を賜ることになりました。また、天武天皇13年（684年）には新たに定められた八色の姓に従い、臣から朝臣に改姓されました。御主人はこの混乱の中で、納言として功名を馳せ、政治の中心的な役割を果たすこととなります。

彼はまた、朱鳥元年（686年）の天武天皇の葬儀において、感情を込めて哀悼の意を表し、その後持統天皇の即位時にも祝辞を奏するなど、持統朝では重要な役職にありました。

持統朝の政治への寄与

持統朝では、彼は大伴御行と並び高官としての立場を持ち、持統天皇の即位を祝う賀騰極を奏することで、政府出席の高官たちと共に皇室を支持しました。持統天皇5年（691年）には大伴御行との共同で80戸の増封を受け、さらに持統天皇8年（694年）には氏上に昇進し、阿倍氏の氏上としての地位を確立しました。

文武朝での功績

文武天皇の即位以後、大伴御行との連携は続き、686年から703年にかけて、御主人はさまざまな公職に就くことで国家運営に寄与しました。文武天皇4年（700年）には、正式に右大臣に任じられ、従二位にまで昇進し、太政官の筆頭としての地位を築きました。

晩年と死去

御主人は大宝元年（701年）にその権威を確立しつつも、703年に69歳で亡くなりました。彼の死後、彼が持つ封戸の一部が子息に引き継がれることとなり、彼の政治的な影響力は子孫へと受け継がれました。また、彼の名が記される『竹取物語』の右大臣のモデルになったという点でも、彼の歴史的な意義が感じられます。

官歴の整理

阿倍御主人の官歴は非常に詳細であり、彼が果たした役職や権威がしっかりと記録されています。重要な公職としては、納言、右大臣、従二位など多岐にわたります。

系譜

彼の父は阿倍内麻呂であり、母については記録が残されていません。彼の子どもたちの中でも特に阿倍広庭が知られており、彼の血統は阿倍氏の系譜に名を刻むことになりました。

まとめ

阿倍御主人は飛鳥時代において、政治家としての力量を駆使し、政権の中で重要な役割を果たした人物です。彼の存在は後の時代にも影響を与え、文化的な残影も残していると言えるでしょう。

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