阿寒湖特別

阿寒湖特別：北海道の湖に名を残す競走の歴史

阿寒湖特別は、日本中央競馬会（JRA）が札幌競馬場で開催する中央競馬の競走です。その名の通り、北海道東部に位置する阿寒摩周国立公園内の阿寒湖に由来しています。重賞競走ではありませんが、数々の名馬を輩出し、競馬史にその名を刻む歴史ある競走として知られています。

ステイゴールドと名馬たちの登竜門

2019年時点では3歳以上2勝クラスの特別競走に分類されますが、その歴史は意外なほど華やかです。特に有名なのは、名馬ステイゴールドが3歳時に本競走で3勝目を挙げたエピソードです。この勝利後、ステイゴールドは2000年の目黒記念優勝まで28レースもの間勝利から遠ざかりました。その間、26の重賞競走に出走するも勝ち星に恵まれず、「おもな勝ち鞍：阿寒湖特別」という表記が続いたことが、当時大きな話題を呼びました。

阿寒湖特別は、将来の活躍馬を占う登竜門ともいえる存在です。ステイゴールド以外にも、GI競走を制したマンハッタンカフェやファインモーション、そして翌年の目黒記念を制したホクトスルタン、スマートロビンといった名馬が、阿寒湖特別を勝ち上がっています。これらの活躍馬は、この競走が若駒の潜在能力を見出す重要な舞台であることを示しています。

変遷に富む歴史：距離と条件の変更

阿寒湖特別の歴史は、距離や条件の変更を繰り返しながら歩んできました。1987年以前は、ダート1500メートルの牝馬限定の別定戦として開催されていました。1988年には距離が1800メートルに延長され、1989年には札幌競馬場の改修工事のため函館競馬場で芝1800メートルの競走として施行されました。その後、1990年から性別限定が撤廃され、芝2000メートルのハンデ戦を経て、1992年には再び別定戦となり、1998年から現在の芝2600メートルの競走となっています。

2012年には夏季番組の大幅な変更に伴い休止されましたが、3年後の2014年に復活を遂げました。休止期間中は、STV賞がその役割を担っていました。2018年と2021年は、それぞれ「北海道150周年記念」と北海道開催の変則日程により休止となりました。2021年は横津岳特別（函館）が同等の競走として開催されました。

騎手との相性、そして記録に残る出走馬

阿寒湖特別は、かつては的場均騎手（現調教師）との相性が抜群でした。1989年から1994年まで6年連続で連対を果たし、1995年は騎乗馬がなかったものの、1996年に勝利したことで7騎乗機会連続連対という偉業を達成しました。1991年の2着を除く全てのレースで勝利しています。

また、2004年と2005年には、後に中央競馬におけるサラブレッド系種の最多出走記録を更新するハートランドヒリュが出走したことも特筆すべき点です。

さらに、ばんえい競馬でも「阿寒湖特別」という同じ名称の競走が行われていた時期があります（1998年、2000年、2003年）。

このように、阿寒湖特別は、その歴史と名馬たちによって彩られ、競馬ファンにとって記憶に残る競走として、これからもその名を刻み続けるでしょう。様々な変遷を経て現在に至るその歴史は、競馬というスポーツのダイナミズムを象徴するものです。

もう一度検索