陳中孚

陳中孚（ちん ちゅうふ）

陳中孚は、1882年に生まれ、1958年5月24日に亡くなった中華民国の政治家です。字は奇曽（きそう）といいます。彼は、早くから革命運動に参加し、中国国民党では西山会議派の一員と見なされていました。その後、汪兆銘政権に参加したことで知られています。

生涯

革命派から反共右派へ

清朝末期に日本へ留学し、法政大学を卒業しました。帰国後は、商震らと共に東三省で革命派の秘密活動に従事しました。辛亥革命が勃発すると、東三省で革命派の連絡員として活動しました。

中華民国成立後、第二革命（二次革命）の失敗により日本へ亡命しました。その後、中華革命党総務部第二科科長に就任しました。1915年に帰国すると、孫文（孫中山）の指示の下、山東省で党務や軍務に従事しました。同年、護国戦争が勃発すると、東北革命軍総司令部参謀兼運糧局局長となり、後に総司令代理も務めました。1917年からの護法運動にも参加し、大元帥府軍事委員会委員に任命されました。

国民政府成立後、陳中孚は中国国民党の中でも反共右派の西山会議派の一員とされ、元老である許崇智の側近と見なされました。1926年には、広州国民政府委員会秘書に就任しました。翌年の10月には、安徽省政府財政庁庁長に任命され、12月には同省の国民政府財政特派員に転任しました。1928年には青島市接収専員に任命され、翌年の7月には江蘇省政府委員に異動しました。同年中に青島市長に任命されましたが、実際には就任しませんでした。

汪兆銘政権での活動

1931年5月、陳中孚は許崇智の代理として、反蔣介石派の広州国民政府に参加し、政務委員会委員に任命されました。1935年に冀察政務委員会が成立すると、同委員会の外交委員会主席委員に就任しましたが、宋哲元との意見が合わず、翌年に辞任しました。

日中戦争（抗日戦争）勃発後の1938年3月、陳中孚は中華民国維新政府の行政院長である梁鴻志の顧問となりました。その後、呉佩孚を親日政府の首班に擁立する活動を開始し、1939年には漢口に赴いて呉のための弁事処を設立しました。しかし、呉がこの動きを拒否したため、この計画は頓挫しました。汪兆銘政権（南京国民政府）が成立後の1941年5月には、国民政府委員に任命され、後に（汪派）国民党中央監察委員なども務めました。

汪兆銘政権崩壊後は日本に渡り、「日華親善」に従事したとされ、アジア友の会顧問も務めました。1958年5月24日、心筋梗塞のため国立東京第二病院にて亡くなりました。享年77歳（満75歳）でした。


参考文献

徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
劉国銘主編『中国国民党百年人物全書』団結出版社、2005年。ISBN 7-80214-039-0。
* 東亜問題調査会『最新支那要人伝』朝日新聞社、1941年。

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