陳樹藩

陳 樹藩（ちん じゅはん）

陳樹藩は、清末から中華民国時代にかけて活躍した軍人であり、政治家でもあった。彼は陝西省興安府安康県出身で、本貫は湖南省長沙府寧郷県にある。彼の字は柏森または柏生であり、当時の複雑な時代背景の中で様々な役職を歴任した。

軍歴の始まり

21歳で陝西陸軍小学に入学し、その後24歳で保定陸軍速成学堂の砲兵科に進学する。1910年には同校を卒業し、陝西陸軍の軍械官に任命された。彼は翌年に中国同盟会に加入し、辛亥革命では陝西東路招討使として同州に駐留する。

重要な任務と功績

彼の軍歴の中で、1912年には陝西陸軍第3混成旅の旅長に任命され、1915年には陝南鎮守使に就任する。同年、袁世凱が皇帝に即位した際には、三等男に封じられた。1916年には陝北鎮守使に任じられるが、この頃から護国戦争が勃発し、彼は陝西護国軍の総司令に任命される。

陳樹藩は胡景翼との接触を図り、陸承武の引き渡しを条件に陝西将軍の地位を奪取する。この時期に漢武将軍の位を授与され、陝西の統治権を得るが、その後、胡景翼との対立が激化する。1918年1月、胡景翼は陝西靖国軍を組織し、護法戦争の開始に伴って彼との戦いを始めた。陳樹藩は一時的に胡景翼を捕虜にするが、処断はせず、その後も和解を試みるものの胡景翼は降伏しなかった。

陣営の変化と敗退

1920年には安直戦争が勃発し、陳樹藩は胡景翼を釈放するが、安徽派が敗北すると彼の勢力は次第に衰退していく。1921年の5月、彼は曹錕から陝西督軍の解任通告を受け、その後任が直隷派の閻相文に決定される。彼は武力抵抗の準備を進めるが、最終的には馮玉祥と胡景翼の挟撃を受け、南山に撤退して陝西督軍の地位から追放されてしまう。

晩年と死

その後、陳樹藩の指揮下にあった部隊は陝西省、湖北省、四川省の省境で彷徨する流浪集団となり、最終的には四川軍に撃破され、天津へ逃れることとなる。その後は仏教の研究に専念し、政治や軍事の表舞台から退くこととなった。1949年11月2日、杭州にて65歳で亡くなった。彼の経歴は、清末から中華民国にかけての激動の時代を反映したものであり、その影響は当時の軍事的、政治的な状況に色濃く残っている。

参考文献

• - 来新夏ほか『北洋軍閥史 下冊』南開大学出版社、2000年。ISBN 7-310-01517-7。
• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
• - 劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。ISBN 7-101-01320-1。
• - 徐輝琪「胡景翼」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第7巻』中華書局、1993年。ISBN 7-101-01052-0。

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