隠岡遺跡

隠岡遺跡について

隠岡遺跡（かくれがおかいせき）は、三重県伊勢市倭町に位置する歴史的な遺跡であり、弥生時代と平安時代の両方の遺構を兼ね備えています。この遺跡は、宮川の南側にあり、伊勢市内で最初に確認された3世紀末の集落跡であり、伊勢神宮の創建時期とも関連がある重要な場所です。

遺跡の概要

隠岡遺跡は、弥生時代の集落の跡地と平安時代の建物群が複合している遺跡です。周辺は隠岡遺跡公園として整備されており、市民の憩いの場として利用されています。

遺跡の発見

遺跡の発見は1984年に遡り、伊勢市教育委員会の調査によって弥生時代後期の建物跡が数多く発見されました。発掘調査は1983年から始まり、主に市営住宅建設の予備調査として行われました。発掘面積は約2,300m²に及び、最終的には22軒の弥生時代の住居跡が確認されました。この成果は、「5世紀頃まで人々が生活していなかった」という従来の通説を覆すものでした。平安時代に属する建物としては、掘立柱建物が6棟、総柱建物が3棟見つかっています。

出土品

出土した遺物は、弥生時代のものとして壺、甕、斧、高坏などの製品があり、平安時代のものとしては緑釉陶器や土師器、須恵器、志摩式製塩土器などの器物が発見されています。

伊勢神宮との関連

『日本書紀』によると、伊勢神宮は垂仁天皇の治世に鎮座したとされています。これをもとに、田中卓氏はこの出来事を3世紀後半から4世紀初頭と解釈しています。隠岡遺跡は伊勢神宮と直接の結びつきはありませんが、その発見は「5世紀頃まで人が暮らしていなかった」という主張を覆しました。したがって、隠岡遺跡の見つかることで、3世紀に伊勢神宮が存在していても矛盾が生じないとの立場が強化されました。また、近隣の桶子遺跡で銅鐸の破片が発見され、遺物の堆積の厚さが古い遺跡の発見を難しくしていることが指摘されており、このことも「5世紀頃まで人が住んでいなかった」という見解を払拭する要因となりました。隠岡遺跡近くには倭姫命の陵墓も存在しており、地理的に同じ高さに位置しています。隠岡という地名は、倭姫命が石隠れしたことに由来しています。

隠岡遺跡公園

遺跡は公園として整備されており、竪穴建物1棟と2棟の掘立柱建物が再現されています。竪穴建物は通常施錠されていますが、伊勢市教育委員会の立ち会いがあれば内部を見学することができます。その内部は約8畳分の広さがあります。

交通アクセス

隠岡遺跡へのアクセスは非常に便利です。住宅街に位置し、近鉄山田線・鳥羽線の宇治山田駅から徒歩約15分で到着できます。光明寺から御幸道路（県道22号・37号）を進み、交差点（二見街道入口）を右折し坂を上ると遺跡にアクセスできます。

隠岡遺跡は、伊勢の歴史を深く理解する上で欠かせない場所となっており、今後も多くの人々に親しまれることでしょう。

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