雅楽 (中国)

雅楽の歴史と特徴

雅楽（ががく、ヤーユエ）は、中国の伝統的な宮廷音楽の一形態で、主に祭礼や儀式の場で活用されてきました。この音楽形式は、時代ごとにその内容やスタイルが変化し、特に日本の雅楽とは異なる特徴を持っています。

歴史的背景

「雅楽」という言葉は、中国の古典文献『論語』にその初出を見ます。儒教の教えでは、「礼楽」が重要な位置付けられており、これに対して墨家は「非楽」を主張しました。先秦時代の雅楽については詳細が分かっていませんが、『書経』や『周礼』には楽器としての八音の記述があり、後の雅楽はこの八音を重視して発展しました。

『周礼』では、大司楽が扱った「雲門」「咸池」「大韶」「大夏」「大濩」「大武」といった舞曲の名前が確認でき、これらは総じて「六楽」と呼ばれました。民間音楽や夷狄の音楽は別の官に属し、楽器や楽しみ方が異なったことが伺えます。

秦代に入ると、六楽のうち「大韶」と「大武」の二曲だけが残り、「大武」は「五行」へと改題され、「大韶」は漢代には「文始」と改められました。武帝の時代には、河間献王が雅楽を献上しましたが、宣帝と元帝の時代には音楽が縮小され、成帝の治世に再び盛況となり、しかし哀帝の治世では紀元前7年に楽府が廃止されました。この時代の新しい雅楽は、「鄭声」と呼ばれ、批判の声もありました。

隋唐時代には、宴会用の燕楽が発展し、これは清商楽や、外国から取り入れられた楽器が融合した形態です。一方で雅楽は古くからの楽器を使用し続け、大楽署という政府機関が燕楽と雅楽の双方を管轄していました。

唐の開元年間には、『詩経』の中から選ばれた12篇の楽譜が今に残され、「風雅十二詩譜」として知られています。この楽譜は、南宋の趙彦粛による伝承を受けています。

楽器の構成

雅楽で使用される楽器は時代によって変化しますが、八音（金・石・土・革・糸・木・匏・竹）をもとにした楽器が基本となります。具体的には次のような楽器が使われています。

• - 金: 鐘（編鐘）
• - 石: 磬（編磬）
• - 土: 塤
• - 革: 鼓、鼙、鼗
• - 糸: 絃（琴、瑟）
• - 木: 柷、敔
• - 匏: 笙、竽
• - 竹: 管（簫、篪）

これら楽器の多くは、雅楽の専用楽器として特定の音楽シーンで利用されるようになりました。清の時代の中和韶楽では、18種類もの楽器が使用され、この多様性が雅楽の持つ奥深さを物語っています。

現代の雅楽

近年では、2004年に清朝で祭祀の音楽の訓練を行っていた神楽署が天檀公園内に復活し、2006年には中和韶楽が北京市の第一回非物質文化遺産に指定されました。これにより、雅楽の伝統が現代の日本や中国においても大切にされ、継承されています。

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