露朝国境

露朝国境の概要

露朝国境は、ロシア連邦と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の間に位置する国境です。陸上国境は17km、海上国境は22.1kmと、ロシアの国境線の中では最も短いものです。陸上国境は豆満江とその三角江の谷線によって定められ、海上国境は両国の日本海上の領海によって区切られています。

1985年4月17日に基本国境条約が締結され、さらに中露朝三国間では三国国境の位置を定める条約も締結されています。三国国境地点は豆満江の河川内にあり、標識の設置が難しいため、各国が河岸に標識を設置し、その位置に基づいて三国国境が定義されています。ロシア側の国境に接する行政区画は沿海地方のハサン地区、北朝鮮側は羅先特別市です。

国境を越える交通路

北朝鮮とロシアを直接結ぶ交通路は、豆満江にかかる朝鮮・ロシア友情橋のみです。この橋は単線の鉄道橋で、旅客列車と貨物列車が運行されています。ロシア側のハサン駅と北朝鮮側の豆満江駅を結び、両国間の鉄道の軌間が異なるため、豆満江駅で台車の交換が行われます。貨物列車の場合は、荷の積み替えが行われます。

友情橋を通る旅客列車には、ウスリースク駅と豆満江駅間のローカル国際列車のほか、モスクワと平壌を結ぶ直通列車があります。この直通列車は、モスクワからウスリースクまではモスクワ-ウラジオストク列車、ハサンまではウスリースク-豆満江列車に連結され、北朝鮮国内では北朝鮮国鉄の列車に併結されて運行されます。総運行距離は10,272kmで、世界最長距離の直通旅客列車として知られています。

豆満江駅は、北朝鮮のビザ用紙に印刷された３つの国境通過点の一つであり、第三国人にも開かれた国境です。しかし、1990年代中盤に経済状況が悪化し、モスクワと平壌を結ぶ国際列車は中国経由に変更され、露朝間の交通路はローカル路線となっていました。その後、2008年には西洋人観光客が友情橋を渡る列車に乗車し、2018年以降は外国人も直通列車に乗車できるようになりました。2015年4月には、両国間の道路接続に関する合意も署名されています。

歴史的背景

ロシア帝国と清朝（李氏朝鮮を含む）の国境は、1860年の北京条約によって定められました。これにより、清朝はウスリー川以東の領土をロシアに割譲し、豆満江の下流部分が国境の一部となりました。この条約では朝鮮の独立は明記されていませんでしたが、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、朝鮮における中国の影響力が弱まり、日本の影響力が強まりました。1905年の第二次日韓協約により大韓帝国は日本の保護国となり、1910年の日韓併合により、朝鮮は日本に併合されました。これにより、豆満江はロシア帝国（後にソビエト連邦）と大日本帝国の境界となりました。

1938年、ソ連は沿岸地域の資源開発と防衛のため、シベリア鉄道のバラノフスキー駅からクラスキノまでの鉄道建設を開始し、1941年に完成させました。第二次世界大戦後、この路線はハサンまで延伸され、ハサン駅は1951年に開業しました。その後、豆満江には木製の一時的な橋が建設され、1952年に最初の列車がロシアから北朝鮮に渡りました。

1990年、ソ連と北朝鮮は、豆満江の谷線に沿って国境を画定する合意に署名しました。この際に、旧鹿屯島がソ連領となりましたが、この合意は韓国によって承認されていません。20世紀後半には、多くの難民や亡命者が露朝国境を越えて脱北し、現在はロシアやその他の独立国家共同体諸国に居住しています。

河岸の保護

豆満江の河岸は、北朝鮮側が山岳地帯であるのに対し、ロシア側が低地であるため、洪水による侵食によって流路がロシア側へ徐々に変化する可能性があります。そのため、ロシアは2004年から2008年にかけて岩を使用した河岸保護プロジェクトを実施しました。

この国境は、両国にとって重要な交通路であり、歴史的な出来事も数多く刻まれています。また、河川の管理や国境警備など、様々な課題を抱えながらも、両国間の交流を支え続けています。

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