青侍

青侍（あおさむらい）とは

青侍とは、平安時代から江戸時代にかけて、貴族や公家の家政機関に勤仕した侍のことです。

青侍の歴史

青侍は、11世紀頃に侍階層が出現した頃から存在し、公家の家政機関に奉仕する役割を担っていました。しかし、四位・五位に昇進する諸大夫よりも下位に置かれ、基本的には六位に位置していました。六位の位袍の色が青系の縹色であったことから、「青侍」と呼ばれるようになったと言われています。また、「青」が持つ未熟さのイメージから、年若い侍や位階の低い侍を指す意味合いもありました。

中世後期に入ると、公家社会における政所や家司の制度が解体され、公家の家臣層は諸大夫と青侍を中心とする家僕に再編成されました。特に、諸大夫を抱えることができない中下層の公家では、青侍のみで家僕が構成され、公家家政を運営するようになり、青侍と家僕が同義語として扱われることもありました。

戦国時代には、天皇や摂関などが身分の低い者に対して命令を下すための奉書を発給する際に、弁官などが自己の青侍に命じて奉書を発給させる「青侍奉書」という形態も存在しました。

また、中世後期において家僕が公家における軍事力を構成しており、荘園支配の維持などに一定の役割を果たしたとする指摘もあります。

江戸時代にも青侍は存続し、主人が宮中に参内する際の先触れなどの役割を担っていました。

明治維新後、地下官人や公家侍のうち3代以上仕えていた者は官家士族として士族となりました。これらの官家士族からは、明治の文化財保護行政に貢献した東寺公人の蜷川式胤をはじめ、多くの文化人や官僚が輩出されました。多くは平安神宮、熱田神宮、明治神宮などで神職となっています。

青侍として知られる人物

下河辺長流 - 江戸時代初期の三条西家の家臣で、国学の先駆者として知られています。
本庄宗資 - 江戸時代前期の譜代大名。はじめ二条家の家臣でしたが、徳川綱吉の生母である桂昌院の弟であったことから、桂昌院と綱吉の庇護を受け大名に立身しました。
島田正辰（左近） - 幕末の九条家の家臣で、佐幕派の要人として活動しました。
飯泉喜内 - 幕末の三条家の家臣で、安政の大獄で刑死しました。
香川景樹 - 江戸時代後期の徳大寺家の家臣。歌人としても知られています。
尾崎三良 - 烏丸家、冷泉家を経て三条実美の家臣となりました。
革島家 - 鷹司家家臣。清和源氏佐竹氏支族。室町幕府奉公衆でもありました。
調子家
中小路家

参考文献

山中裕「青侍」（『国史大辞典 1』吉川弘文館、1979年）
玉井力「青侍」（『日本史大事典 1』平凡社、1993年）
湯川敏治「青侍奉書について -戦国期公家文書の一形態-」（『戦国期公家社会と荘園経済』続群書類従完成会、2005年）

関連項目

* 公家侍秘録 - 高瀬理恵の漫画。江戸時代後期の青侍を主人公とする作品です。

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