青山延于

青山延于（あおやま のぶゆき）

青山延于は、安永5年（1776年）に生まれ、天保14年9月6日（1843年9月29日）に没した江戸時代の儒学者であり、水戸藩士です。字は子世、通称は量介（量助）、号は拙斎、雲竜。

生涯

彰考館編修を務めた青山延彝（一之進・瑤渓）の三男として生まれました。幼少より学問に励み、立原翠軒に師事。寛政6年（1794年）に彰考館雇となります。その後、編修などを経て、文政6年（1823年）には江戸彰考館総裁に任ぜられ、『大日本史』の校訂と出版を推進しました。

文政9年（1826年）からは、水戸藩主・徳川斉脩の命により『東藩文献志』の編纂を主宰し、文政12年（1829年）までにその草稿をほぼまとめ上げました。この編纂事業は、水戸藩の文化的な発展に大きく貢献しました。

文政12年（1829年）に斉脩が亡くなると、後継者争いが勃発。青山は、戸田忠太夫、藤田東湖、安島帯刀、会沢正志斎、武田耕雲斎らと共に徳川斉昭を擁立し、門閥派と激しく対立しました。この政治的活動の結果、斉昭が藩主となり、水戸藩の改革が進められることになります。

天保元年（1830年）に彰考館総裁を辞して水戸に戻りましたが、その後も書院番、通事、小姓頭などを歴任し、藩政に参与しました。天保11年（1840年）には、弘道館の初代教授頭取（総教）に任ぜられ、人材育成に尽力しました。自宅に塾を開き、子弟の教育にも熱心に取り組みました。

学問においては、文章と史学に優れており、多くの著書を残しています。

年譜

寛政6年（1794年）：彰考館雇となる
享和2年（1802年）：彰考館編修となる
文政6年（1823年）：江戸彰考館総裁となる
文政9年（1826年）：『東藩文献志』の編纂を主宰する
天保元年（1830年）：書院番となる
天保3年（1832年）：通事となる
天保11年（1840年）：小姓頭、弘道館教授頭取（総教）に任ぜられる
天保14年（1843年）：病没
明治35年（1902年）：従四位を追贈される

人物

父・一之進の厳格な教育方針のもとで育ちました。短気で議論好きな性格であり、思ったことを率直に口にするため、周囲を辟易させることもあったようです。しかし、その一方で、火災から文献を守るために書庫の移転を強く主張し、実行に移すなど、先見の明と実行力も持ち合わせていました。

家族

青山家は、元々佐竹氏の旧臣であり、後に水戸藩に仕えるようになりました。長男の延光は水戸彰考館国史編修頭取、弘道館教授頭取を務めました。曾孫には、社会運動家・婦人運動家の山川菊栄がいます。

著書

『皇朝史略』
『続皇朝史略』
『明徴録』
『文苑遺談』
『詞林摘英』

関連項目

常磐共有墓地

参考文献

茨城新聞社編 『茨城県大百科事典』 茨城新聞社、1981年、5頁。
山川菊栄 『武家の女性』 岩波文庫、1983年 ISBN 9784003316214
同 『覚書 幕末の水戸藩』 岩波文庫、1991年 ISBN 400331624X

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