青山延光

青山延光（あおやま のぶみつ）

青山延光は、文化4年（1807年）に生まれ、明治4年（1871年）に没した、幕末期の水戸藩に仕えた儒学者です。字は伯卿、通称は量太郎、号は佩弦斎、晩翠。彼は、水戸藩における歴史書『大日本史』の校訂作業に深く関わり、その出版に貢献しました。また、藩内の政治的対立を鎮める役割も担いました。

生涯

青山延光は、水戸藩士である青山延于の長男として、水戸城下（現在の茨城県水戸市北見町）に誕生しました。彰考館に奉職し、『大日本史』編纂事業に尽力、国史編修頭取として校訂作業の中心人物となりました。嘉永2年（1849年）には、本紀・列伝の出版に際し、徳川斉昭の跋文を代作するなど、その文才も発揮しました。

幕末の藩政においては、天狗党と諸生党の激しい対立が起こりましたが、延光は人々の心を鎮め、事態の収拾に奔走しました。彼は史学と文学に優れ、その学識は広く知られていました。

年譜

1824年：江戸彰考館に雇われる。
1827年：『東藩文献志』の編纂に携わる。
1830年：水戸彰考館総裁代役となる。
1840年：小姓頭取兼弘道館教授となる。
1843年：家督を継ぎ、小姓頭兼弘道館教授頭取となる。
1846年：彰考館に勤務し、『大日本史』の校訂作業に尽力する。
1849年：本紀・列伝の出版に際し、徳川斉昭の跋文を代作する。
1852年：小姓頭兼教授頭取として、再び弘道館に勤務する。
1869年：大学中博士となる。
1871年：東京本郷弓町の自宅で没する。
1915年：正五位を追贈される。

人物像

青山延光は、せっかちで議論好きな父とは対照的に、大柄で肥満体型、慎重で温厚な性格でした。人と争うことを好まず、掴みどころのない人物であったため、吉田松陰からは「蒟蒻（コンニャク）党」と評されました。藤田東湖とは友人でしたが、藩内の派閥抗争とは距離を置き、弘道館においては学問研究の側面を代表する存在でした。その人柄から、藩主である徳川斉昭によって反対派への宥和工作を任されることも多かったようです。弟の延寿は、兄である延光を「韜晦の名人」と評しています。

著書

『国史紀事本末』
『野史纂略』
『六雄八将論』

関連項目

常磐共有墓地
山川菊栄 - 延光の外孫（弟・延寿の孫）。

参考文献

茨城新聞社編 『茨城県大百科事典』 茨城新聞社、1981年、4-5頁。
山川菊栄 『覚書 幕末の水戸藩』 岩波文庫、1991年 ISBN 400331624X

もう一度検索