小姓頭

小姓頭（こしょうがしら）とは

小姓頭は、戦国時代から桃山時代、そして江戸時代の一部に見られた役職で、領主や藩主の側近として仕えました。具体的には、小姓や小納戸といった、主君の身の回りの世話をする者たちを統括する役割を担っていました。この役職は、主君に近侍する立場から、藩政にも影響力を持つことがありました。

概要

小姓頭は、藩主の側近である小姓や小納戸をまとめる役職です。多くの場合、用人がこの役職を兼任していましたが、用人とは別に単独で小姓頭が置かれる藩もありました。また、小姓組組頭とは異なる役職であることが一般的でした。

織豊政権と江戸幕府における小姓頭

織田家や豊臣家では、江戸時代以前から小姓頭の役職が見られました。例えば、前田利家が織田信行の小姓頭を討ち取ったり、豊臣秀頼の小姓頭を福原長堯が務めた記録があります。江戸幕府にはこの役職は存在しませんでしたが、御三卿の田安徳川家や清水徳川家には当初、番頭と用人の間に小姓頭が置かれていました。

徳川御三家では、紀州藩や水戸藩にこの役職が存在しました。紀州藩では、一時的に『側役』と名称を変えていた時期もありました。

江戸時代の諸藩における小姓頭

江戸時代の各藩においても小姓頭の役職は存在し、江戸時代後期の武鑑で確認できます。例えば、文化13年から14年に刊行された武鑑には、鳥取藩やその支藩の池田家、吉田藩松平家、横須賀藩西尾家、小見川藩内田家、長瀞藩米津家などに「小姓頭」の記載が見られます。また、姫路藩酒井家や出石藩仙石家では「小姓頭用人」という役職が確認できます。

ただし、武鑑に記載がない藩でも、実際には小姓頭が存在することも多く、米沢藩や仙台藩、柳河藩、佐伯藩などがその例です。また、武鑑では小姓頭が用人として掲載されている場合や、単独で小姓頭が置かれているにもかかわらず、用人より下位に位置づけられている場合も多く見られました。しかし、藩によっては用人よりも上位に位置づけられていた例もありました。また、児小姓頭や大小姓頭といった役職が置かれる場合もありました。

藩によっては、小姓頭が側用人並みに大きな権力を持ち、専横を振るうこともありました。有名な例としては、仙台藩の伊達宗勝に寵愛された渡辺義俊や、米沢藩の上杉重定の小姓頭である森利真が挙げられます。彼らの専横が、伊達騒動や藩政の混乱の一因となったとされています。

主要な小姓頭経験者

以下に、主な小姓頭経験者をまとめます。

福原長堯（豊臣政権）
藤井徳昭（水戸藩）
渡辺義俊（仙台藩）
森利真（米沢藩）
莅戸善政（米沢藩）
青山延光（水戸藩）
坂時秀（仙台藩）
石田弥右衛門（前橋藩）

まとめ

小姓頭は、主君の側近として、身の回りの世話から藩政に関わることまで、幅広い役割を担っていました。藩によっては大きな権力を持ち、その影響力は無視できないものでした。彼らの存在は、当時の社会構造や藩政運営を理解する上で重要な要素となります。

参考文献

「編年江戸武鑑　文化武鑑7」（石井良助・柏書房）
『柳川歴史資料集成第三集　柳河藩立花家分限帳』 （柳川市史編集委員会編集・ 福岡県柳川市・ 1998年（平成10年）3月発行）
「上杉鷹山のすべて」（新人物往来社）
堀内信「南紀徳川史」
* 「大武鑑・中巻」（名著刊行会・橋本博）

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