青山景通

青山景通（あおやまかげみち）とは

青山景通は、文政2年（1819年）に生まれ、明治24年（1891年）に没した、幕末から明治にかけての復古神道家です。美濃国苗木藩の下級藩士の家に生まれ、通称を稲吉と名乗りました。彼は、平田篤胤の門人として国学を学び、その思想に基づいて行動しました。長男の青山直通、三男で医学博士の青山胤通（後の男爵）もまた、歴史に名を残しています。

平田国学への傾倒

嘉永5年（1852年）、34歳で平田篤胤の養子である平田銕胤の塾、気吹舎に入門しました。当時、苗木藩主の遠山友詳が幕府の要職にあったことから、景通は幕府の情報を入手しやすく、それを銕胤に伝えていました。しかし、文久3年（1863年）には、正義を害したとして破門されていた国学者の鈴木重胤を暗殺するという事件を起こしています。

明治維新後の活動

明治維新後、景通は神祇事務局、神祇官権判事、神祇少祐を歴任しました。平田国学を奉じる他の青山一門とともに、儒教教育の否定や、藩内の寺院や位牌の破却を積極的に行いました。この急進的な改革は、元筆頭家老らからの強い反発を招き、彼らが蜂起を計画する事態にまで発展しました。しかし、景通はこれを事前に察知し、共謀者たちを逮捕、処罰しました。また、明治3年（1870年）には、荻原嚴雄、三輪田元綱らとともに国学四大人の霊祭を行っています。

廃仏毀釈の推進

景通は、明治維新後の苗木藩において、長男の青山直通とともに、廃仏毀釈を徹底的に実行しました。これは、政府の神道国教化政策に沿ったもので、藩内の寺院の廃止や仏像の破壊が行われました。明治3年9月27日には、苗木藩庁が管内の15か寺を廃寺とし、寺僧たちを還俗させたことを中央政府に届け出ています。実際には、届け出の15か寺以外にも、廃寺となった寺院が存在しました。

主な廃寺（届け出より）

恵那郡
苗木村：雲林寺・仏好寺
福岡村：片岡寺
蛭川村：宝林寺
坂下村：長昌寺
高山村：岩松寺
中野方村：心観寺
河合村：竜現寺
加茂郡
飯地村：洞泉寺
黒川村：正法寺
赤河村：昌寿寺
神土村：常楽寺
姫栗村：長増寺
犬地村：積善寺
切井村：龍気寺

年譜

1819年（文政2年）：誕生
1852年（嘉永5年）：平田銕胤の門に入る。
1859年（安政6年）：三男の胤通が生まれる
1868年（慶応4年）：維新政府に登用され、徴士、神祇官権判事に任命される。
1876年（明治9年）：家禄奉還と廃仏毀釈への反発から青山邸が焼き討ちにあう。
1891年（明治24年）：死去

青山景通の評価

青山景通は、平田国学の影響を受け、神道を中心とした国家の再建を目指した人物として評価されています。一方で、彼の過激な廃仏毀釈政策は、地域社会に大きな混乱をもたらし、多くの人々の反発を招きました。彼の生涯は、幕末維新期の激動の時代を象徴するものであり、宗教と政治の複雑な関係を考える上で重要な事例となっています。

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