韋康

韋 康（いこう）についての詳細

韋康は後漢末期、特に混乱した時代において活躍した著名な政治家であり軍人です。彼は司隷京兆尹杜陵県出身で、字は元将でした。父は韋端、弟には韋誕がいます。彼の存在は、当時の歴史記録『三国志』の中で荀彧伝の注釈に見ることができ、荀彧を通じて世にその名を知られることとなりました。

韋康の才能と評価

彼は曹操軍の中で特に評価された人材の一人であり、孔融からは非常に高い評価を受けていました。孔融は韋康や彼の弟である韋誕についての印象を手紙で父に伝え、韋康を「底知れぬ才能が輝き渡り、度量大きく、意志強く世に優れた人材」と称賛しました。また、韋兄弟を「ドブガイからとれた二つの真珠」と表現しています。

政治的キャリア

韋康は父が涼州牧から太僕へと召されると、その後任として涼州刺史の地位に就きます。彼は楊阜を別駕として重用し、非常に有能な部下となりました。楊阜は後に中央に召されますが、韋康は彼を慰留し参軍としての役割を与えました。また、閻温を別駕に任命し、上邽県令の職務も代行させることで彼の政治的手腕を発揮しました。

潼関の戦いと韋康の苦難

建安17年（211年）、潼関の戦いにおいて、曹操率いる軍に大敗した馬超は、韋康のもとに逃げ込みます。閻温は馬超の到着を阻止しようとしましたが、失敗し、馬超は韋康の元へ身を寄せることになりました。馬超はその後次第に勢力を振り返し、建安18年（212年）には、冀城を除くほとんどの郡県が彼に呼応する状況となりました。

韋康は冀城に籠城し、楊阜や他の郡太守と共にその防衛を続けましたが、馬超の軍に包囲されることとなります。包囲は8ヶ月にも及び、曹操軍の援軍は一向に来る気配がありませんでした。状況は次第に悪化し、城内は飢えと絶望に覆われ、韋康は城内の人々の苦境を深く憐れむようになりました。閻温の死が追い打ちをかけ、次第に降伏を考えるようになりました。

降伏とその後の悲劇

遂に韋康は楊阜の反対を押し切って馬超に和議を申し入れ、城門を開いて降伏する決断を下しました。しかし、馬超は自らの援軍として到着した張魯軍の楊昂に、韋康および郡太守たちを殺害させる結果となりました。この悲劇的な事件に心を痛めた涼州の人々は哀悼の意を表しました。結局、夏侯淵が救援に来たときには、韋康はすでに命を落としており、彼の死をもって彼の物語は幕を閉じました。

最後の戦い

夏侯淵が冀城の200里余りの地点で馬超の軍と遭遇しましたが、すでに彼は劣勢に立たされていたうえに、汧県では氐族の反乱も勃発したため、撤退せざるを得ない状況となりました。韋康の死は、彼が目指した理想や夢と共に、混沌とした時代の中での一つの悲劇を象徴しています。彼の功績は今日においても語り継がれ、歴史の一ページに刻まれています。

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