韓観

韓観（かん かん）

韓観は、明代の軍人であり、字を彦賓といいました。生年は不明ですが、1414年に亡くなっています。彼は鳳陽府虹県の出身で、高陽忠壮侯韓成の子として生まれました。

生涯

韓観は、若くして太祖朱元璋の宿衛を務めました。その忠実な働きぶりから太祖に認められ、桂林右衛指揮僉事に任命されました。この頃から、彼の軍人としてのキャリアが始まったと言えるでしょう。

1386年、韓観は柳州府融県で発生した少数民族の反乱を鎮圧し、その功績により広西都指揮使に昇進しました。その後も、1389年には富川県の少数民族の反乱を鎮圧し、霊亭千戸所を設置、1392年には賓州上林県の反乱を鎮圧するなど、各地で武功を上げました。

1394年には、湖広の兵と合流して全州灌陽県の瑶族の反乱を討伐し、1400人以上を斬るという戦果を上げました。1395年には、宜山県などで反乱を起こした少数民族を捕らえ、その王や万戸を称する者を含む2800人以上を斬りました。さらに、征南左副将軍として都督楊文に従い、龍州の土官趙宗寿を討伐しました。趙宗寿は降伏し、南京に朝見しました。韓観はその後も転戦し、南丹・奉議・都康・向武・富労・上林・思恩・都亮などの少数民族の反乱を鎮圧し、1万人以上を捕らえたり斬ったりしました。

1396年、韓観は南京に召還され、右軍都督同知に進みました。1397年には、楊文に従って吉州と五開の苗族の反乱を鎮圧し、顧成とともに水西の少数民族の堡塁を制圧しました。凱旋後は、左府の事務を監理しました。1399年には徳州で練兵を行いましたが、靖難の変において燕軍と戦い敗北しました。1402年、永楽帝が即位すると、韓観は都督同知の任に戻されました。命を受けて江西に赴き練兵と城の守備を担当し、広東・福建・湖広の三都司を兼任しました。

廬陵県の民が山に集まり不穏な動きを見せた際、永楽帝は兵を用いることを避け、行人の許子謨を派遣して彼らを説得させようとしました。韓観は許子謨に同行し、その結果、人々は生業に戻りました。永楽帝は韓観の功績を称え、璽書を賜りました。韓観は征南将軍の印を佩くことを命じられ、広西に駐屯し両広の官軍を統括しました。しかし、永楽帝は韓観が殺戮を好むことを知っており、璽書でこれを戒めました。

再び少数民族が反乱を起こしたため、永楽帝は員外郎の李宗輔を派遣して招諭させようとしました。韓観は李宗輔と共に使者として派遣されましたが、大軍の出動も準備しました。桂林府の少数民族6000家は生業に戻りましたが、思恩府の少数民族は帰順しませんでした。韓観は慶遠府・柳州府・潯州府の少数民族を討伐したいと請願しました。

1403年、韓観は指揮の葛森らと共に理定県などの山賊1180人以上を討伐し、首長50人以上を捕らえ斬りました。1404年には、都指揮の朱輝を派遣して宜山県・忻城県の諸山寨を説得して降伏させました。茘波県の瑶族が編戸を求めた際には、韓観は永楽帝の命を受けて現地の人々を安心させ、80以上の洞を帰順させました。1405年、潯州府・桂林府・柳州府の少数民族が反乱を起こした際、韓観は朱輝を派遣して反乱軍を破りました。朝廷から派遣された郎中の徐子良が到着すると、反乱軍は降伏しました。

1406年、永楽帝はベトナムの胡朝への遠征を決定し、韓観に戦略案の提出と食糧20万石の輸送を命じました。韓観は大理寺卿の陳洽と共に現地兵3万を選抜し、太平府で合流、ベトナムの動静を探る偵察隊を派遣しました。遠征軍に従って憑祥を発ち、坡塁関に到着、橋を架け軍糧を補給しました。胡朝が滅亡すると、韓観は永楽帝の命を受けて交趾周辺の諸堡の措置を任されました。

韓観が広西を留守にしている間に、柳州府・潯州府の少数民族が再び反乱を起こしました。1407年、韓観は軍を返して柳州府に着き、秋の深まりを待って軍を動かすことを要請しました。永楽帝は湖広・広東・貴州の三都司の兵を動員し、新城侯張輔に命じて都督の朱広と方政を派遣させ、交趾の兵にも反乱鎮圧に協力させました。10月、官軍は集結し掃討を開始しました。韓観は貴州・両広の兵を率いて柳州府から馬平・来賓・遷江・賓州・上林・羅城・融県を攻め、全てを撃破しました。その後、兵を象州で合流させ、再び武宣・東郷・桂林・貴平・永福に進軍し、1万人以上を斬首、13000人以上を捕らえ、反乱を鎮圧しました。

1411年、韓観は征南将軍の印を佩いたまま、征夷副将軍に任じられ、総兵として交趾に駐屯しました。1412年、食糧を輸送して張輔の軍に補給するよう命じられました。1414年9月、韓観は亡くなりました。後嗣となる男子はいませんでした。1427年、保定伯梁銘が韓観の南京の旧邸を求めましたが、宣徳帝は韓観の妻が邸に住んでいることを知り、その功績を尊重して梁銘に別の邸を賜りました。


韓観は生涯を通じて、明朝のために戦い続けました。その功績は大きく、明朝の版図拡大に貢献しました。しかし、その一方で、彼の殺戮を好む一面もまた、歴史に深く刻まれています。

参考文献

* 『明史』巻166 列伝第54

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