須田満親

須田 満親

（すだ みつちか）

須田満親は、戦国時代に信濃国を拠点とし、後に越後国の戦国大名である上杉氏に仕えた武将です。信濃国高井郡大岩城主・須田満国の子として、大永6年（1526年）に生まれました。

生涯

父である須田満国は、同じく信濃国の有力者であった村上義清と協力し、勢力を拡大する武田晴信（後の信玄）の信濃侵攻に抵抗しました。しかし、天文22年（1553年）に武田氏に敗れると、越後の長尾景虎（後の上杉謙信）を頼り、その家臣となります。満親も父に従い、謙信に仕えることとなりました。

満親は信濃国内の一向宗門徒と親しい関係にあったとされ、その人脈や知識を活かして、謙信からは主に北陸地方の一向宗徒との交渉役を務めるなど、外交面で重要な役割を担いました。また、永禄4年（1561年）に繰り広げられた第四次川中島の戦いにも、上杉軍の一員として参戦しています。

謙信が亡くなった後、上杉家中でお家騒動「御館の乱」が勃発し、満親は上杉景勝を支持しました。乱が鎮静化し景勝が家督を継承すると、満親は景勝の家臣として引き続き重用されます。越中方面において重要な役割を担っていた河田長親が死去すると、満親はその職務を引き継ぎ、越中国方面の総指揮官として松倉城に入りました。ここでは、織田信長の配下である佐々成政と対峙し、越中の防衛戦に従事します。この時期には、一時的に越中の舟見氏の名跡を継ぎ、「舟見宮内少輔規泰」と名乗った記録も残されています。その後、魚津城の城主にもなりましたが、天正11年（1583年）、佐々成政に城を明け渡して退去することとなりました。

天正13年（1585年）6月、満親は故郷である信濃国へ戻り、海津城の城代に任じられます。海津城は川中島の中核をなす重要な拠点で、満親は高井郡、水内郡、更級郡、埴科郡の川中島四郡の支配を任されました。この頃、真田昌幸が徳川家康と対立して上杉氏と同盟を結ぶ動きを見せると、満親は景勝の命を受けて昌幸との交渉役を務めました。そして、同盟の証として、昌幸の次男である真田信繁（後の真田幸村）を人質として預かることになります。同年、徳川家康が真田昌幸の上田城を攻撃すると（第一次上田合戦）、満親は景勝に対し、昌幸への救援を強く進言し、自身も上杉方の援軍の一部を率いて出陣しました。

天正17年（1589年）12月（一説には天正16年（1588年））には、上杉景勝に従って豊臣秀吉のいる京都へ上洛しました。この際、同行した直江兼続と共に、秀吉から豊臣姓を下賜される栄誉にあずかります。また、後陽成天皇からは従五位下・相模守に叙任されました。「文禄三年定納員数目録」によれば、この頃、満親は海津城主として12,086石の知行を得ており、これは上杉家中において、直江兼続に次ぐ大規模な所領でした。

しかし、晩年には悲劇が訪れます。慶長2年（1597年）、秀吉の命により、松阪城主の古田重勝らが北信濃の検地に派遣されるなど、豊臣秀次事件以降取り沙汰されていた上杉氏の会津への移封が現実味を帯びてくる状況下で、満親の嫡男である満胤（直江兼続の妹を妻としていました）が改易される事件が起こります。満胤は、兼続を総奉行とする伏見城舟入の普請において不手際があったとされ、本庄顕長や高梨頼親ら、上杉家の多くの重臣たちと共に家臣団から追放されてしまったのです。

慶長3年（1598年）1月、上杉氏の会津移封が正式に決まると、満親は春日山城に出向き、景勝に対し移封の受諾について諫言したと伝えられています。そして、同年3月4日、海津城において自らの命を絶ちました。享年は73（別の史料では62歳）とされています。法名は興国寺殿徳翁浄慶大居士です。

満親の死後、家督は次男の長義が継承しました。慶長3年（1598年）4月、上杉氏が会津へ移封された際、長義は陸奥国伊達郡梁川城の城代となり、20,000石に加え、同心給として3,300石を与えられています。

関連情報

須田満親に関連する作品や展示として、伊東潤の小説『吹けよ風 呼べよ嵐』や、須坂市立博物館で開催された展覧会「須坂の天地人 上杉景勝の懐刀 須田満親への手紙」などがあります。

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