頼惟勤

頼惟勤：中国学を極めた学者の一生

頼惟勤は、1922年2月2日、東京府に生まれました。著名な中国学者であると同時に、お茶の水女子大学名誉教授の称号も持つ彼は、儒学者として名高い頼山陽の六代目の子孫にあたります。父は東京高等学校教授の頼成一でした。

1939年、武蔵高等学校を卒業後、1943年には東京帝国大学文学部支那哲学支那文学科を繰り上げ卒業するという優秀な成績を収めます。卒業後は海軍へ入隊し、少尉から中尉へと昇進。終戦後、復員を経て、倉石武四郎の助力により京都帝国大学教務嘱託として教職に就きました。

その後、東京大学文学部副手を経て、1952年にお茶の水女子大学専任講師に就任。助教授、教授へと昇進し、1979年から1983年にかけては同大学附属高等学校長を務めました。1987年には定年退官と共に名誉教授の称号を授与され、千葉経済短期大学教授として教壇に立ち続けました。1992年に再び定年退職。1997年には勲三等旭日中綬章を受章するなど、その功績は高く評価されました。1999年7月15日、永眠。

頼惟勤の専門は音韻学でした。彼の学問的貢献は、単なる研究活動にとどまりません。数々の著書や編纂、翻訳を通して、中国学の発展に大きく寄与しました。主な著書として、『江戸時代後期の儒学』、『頼惟勤著作集』（全3巻）、『中国古典を読むために－中国語学史講義』などがあり、いずれも中国学研究において重要な文献となっています。

また、編纂にも積極的に携わり、『日本漢学』、『日本思想大系 37 徂徠学派』、『頼山陽 日本外史』（岩波文庫）など、多くの作品を世に送り出しました。『頼山陽 日本外史』は、頼惟勤の父が書き下ろした原稿を改訂したもので、何度も版を重ねるベストセラーとなりました。さらに、司馬光の『資治通鑑選』の翻訳にも参加するなど、幅広い活動で中国学の普及に努めました。

彼の家系もまた注目に値します。父・頼成一は広島県士族出身。妻は、著名な中国語学者である倉石武四郎の長女でした。国文学者である頼桃三郎とは遠い親戚関係に当たり、山井湧とは従兄弟にあたります。このような学術一家に育ち、また学界の重鎮と縁戚関係にあったことが、彼の中国学研究への道を大きく後押ししたと言えるでしょう。

頼惟勤の生涯は、優れた学識と弛まぬ努力によって彩られた、まさに中国学に捧げられた人生でした。彼の業績は、現代の中国学研究に多大な影響を与え続けており、その名声は長く後世に伝えられることでしょう。

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