顧時

顧時（こ じ）

顧時（1334年 - 1379年）は、元末から明初にかけて活躍した軍人です。字は時挙といい、濠州（現在の安徽省）出身です。その生涯は、朱元璋の旗下で数々の戦功を挙げ、明朝の建国に大きく貢献しました。

生涯

顧時は、若い頃から才気に溢れ、奇抜な戦略を好んだと伝えられています。1355年、朱元璋が長江を渡ると、これに従軍しました。その後の戦いでは、百夫長から元帥へと昇進し、安慶、南昌、廬州、泰州などの重要都市を次々と攻略しました。さらに、天策衛指揮同知に抜擢され、その武勇を認められました。

濠州を拠点とする李済討伐では、平章の韓政に従い、李済を降伏させました。また、張士誠の昇山水寨攻略戦では、小舟を連結させて敵の船団を包囲するという奇策を用いました。敵兵がこれを嘲笑する中、顧時は精鋭部隊を率いて敵船に飛び込み、敵軍を大混乱に陥れました。この戦いで、張士誠の養子である五太子が降伏し、顧時の勇名は大いに轟きました。

徐達に従い、呉（張士誠）を平定した後、軍を率いて山東を奪還しました。1368年には大都督府副使に任じられ、同知率府事を兼務。徐達と共に河南、河北を平定し、運河を浚渫して水運を復活させ、臨清から通州へと進軍しました。元朝の大都攻略戦では、諸将と共に邏古北の要衝を分担し、平陽、崞州を攻略、元将の王信ら46人を捕虜にしました。さらに蘭州を奪取し、慶陽を包囲しました。慶陽の守将である張良臣を撃破し、その部将9人を捕獲し、慶陽を平定しました。

徐達が南京に召還されると、顧時は騎兵を率いて静寧州を攻略し、賀宗哲を敗走させました。1370年には大都督同知に進み、済寧侯に封じられ、世襲の特権を与えられました。1371年には左副将軍となり、傅友徳の副将として河南、陝西の兵を率いて夏を攻撃しました。興元から進軍し、階州、文州を攻略し、漢州で夏軍を撃破、成都を攻略しました。1372年には李文忠の副将として北征に参加し、本隊とは別ルートでゴビ砂漠に入りました。しかし、道に迷い食糧が尽き、疲弊した兵士たちは北元の軍勢と戦うことができませんでした。そこで、顧時は数百人を率いて馬を走らせ元軍に突撃、元軍が退却した隙に敵の輜重、食糧、家畜を鹵獲し、無事に帰還しました。

1373年には徐達に従って北平に駐屯し、翌年には南京に召還されました。1375年には再び北平に駐屯しています。

1379年、顧時は46歳でこの世を去りました。その功績を称えられ、鍾山に葬られ、滕国公を追贈され、諡を襄靖とされました。

その死とその後

顧時没後、息子の顧敬が金吾衛鎮撫となり、1382年に侯爵を継承しました。顧敬も左副将軍として龍泉山の反乱を鎮圧するなどの功績を挙げましたが、1390年、父の顧時が生前に遡って胡惟庸の一派とされ、顧敬も連座して処刑され、爵位を剥奪されるという悲劇的な結末を迎えました。

参考文献

* 『明史』巻131 列伝第19

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